コンサル業務と収入と 1.技術士業務と収入

著者: 山本 泰三  /  講演者: カテゴリ: その他  /  更新日時: 2008年11月04日

 私が技術士(環境)の資格を取ったのは、10年前の1997年です。自分が技術屋として認められたこと、これまでの経験を生かして、60歳以降の長い人生を本番と考えて、コンサルタントとして生きていこうと決意した。3年後の58歳で会社を辞めて独立したのですが、世の中の常識を身につけておれば、このような無謀な計画はありえなかったと思われます。

 事実、会社でも、「独立したいという人はいるが、独立するためにやめた人はいない」、「貴方のわがままでしょう」と言われました。幸い、サポートしてくださる方々もおられ、前の会社での経験などを見込んでコンサルの仕事をさせていただき、現在に至っています。

①お金の値打ちと仕事の評価

 仕事に対する対価のレベルは大雑把に分けて次の4つです。

a)時給800円程度

1日7000円、月25日でも20万円弱です。この層に属す場合、アルバイトや年金生活者ならやっていけますが、本業となるとワーキングプアのグループから脱け出せません。

b)1日2~3万円

 仕事が継続的にある場合、月50万円以上で、平均的な生活が期待できます。ところが、役所の関係の仕事は、概ねa)かb)で計算しているようです。大学の先生など本務がある場合の謝礼ならいいのですが、本業のコンサルとしては少なく、仕事の幅、人脈を作るために引き受けるレベルです。

c)1日5万円、時間7000円

 このレベルのお金が入れば、年間1000万円、コンサルとして自立していける水準です。

 また、お金の多さが目的でなくても、仕事が評価されていると実感できます。

d)1日10万円前後

 企業や役所が業務として発注する場合は、予算をこの水準で考えます。したがって、コンサルタントとしての実力を正当に評価されているということになりますし、事業として成立します。

②技術士の実状

 技術士になったとき、オリエンテーションで、守秘義務や倫理規定とともに、公的な収入は1日10数万円であると教わりました。しかしながら、実態は仕事が見つからない、そんな仕事はないのです。公的機関のアドバイザー登録をして1日2~3万円、月数回が平均的な姿に見えます。

 個別には、専門的な経験、前の会社の紹介などで顧問契約をしたり、海外での技術支援をしたりという方が、見受けられる程度です。

③企業はコンサルにお金を払うのか? 

 企業にとって、外部の専門的、先進的な知見を吸収するためには1日10万円は高くありません。

 しかし、このようなコンサル会社は総合的な形で企業に食い込んでいますので、企業としてもリスクが少ないコンサル会社との契約になります。実務を担当する個人がコンサル会社から得る収入は、よくてもc)5万円/日のレベルです。

 特に中小企業などには手厚い助成策があり、効率の悪い補助金利用をするために、中小企業ではコンサル、ソフトにはお金を払わない習慣が身についていますが、内容次第では10万円は高くないことを理解しているようです。


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