シェールガスは世界を変える

著者: 綾木 光弘 講演者: 末利 銕意  /  講演日: 2014年06月23日 /  カテゴリ: 講演会  /  更新日時: 2014年07月25日

  

公益社団法人 日本技術士会近畿本部登録環境研究会  7月講演会要旨

日時;2014年6月23日(月) 1830分~2030
場所;大阪市 アーバネックス備後町ビル 3階ホール

 

演題1 シェールガスは世界を変える

講演者:末利銕意氏 (本研究会副会長、技術士/化学・総合技術監理)

 

1.シュールガスとは?

シエールガスとは、シェール(頁岩)層からとれる天然ガスで、在来のガス田ではない場所から採取されることから、非在来型天然ガスと呼ばれる。最近は、掘削パイプを縦方向だけではなく横方向にも掘削することができるようになり、採取技術の進展により、利用が現実味を帯びてきた。

2.可採埋蔵量の世界分布とアメリカの生産状況

シェールガスの全世界的な分布をみる。また、技術的回収可能量のベスト10の国は、中国(1,115兆立方フィート)、アルゼンチン、アルジェリア、米国、カナダ、メキシコ、オーストラリア、南アフリカ、ロシア、ブラジルである。この10か国で、世界の80%を占める。

米国におけるシェールガスの開発は東部、南部地域が中心で、多くの日本の企業が開発プロジェクトに参画している。石油メジャーが、石油の将来性に関して危機感を持っており、次の柱となる資源を探索しており、なおかつ高度な採掘技術を保持していたので、シェールガスを含む天然ガスの採掘が飛躍的に伸びた。また、日本の鉄鋼メーカーも高耐久性パイプ製造技術があり、この分野に大きな力を発揮している。

3.シェールガスの価格

国際的な天然ガス価格(その国で入手できる価格)を比較してみると、米国、英国、日本で大きな開きがある。米国では、シェールガス革命と言われるほど、経済復活が大きく、また大量のシェールガス産出により、地下資源価格の全体的下落により、国際関係のパワーバランスに大きな変化が生じつつある。

4.シェールガスの利用状況と今後

天然ガス自動車の開発、利用が大きく進み、ハイブリッド車も開発が進んでいる。副産物の水素を利用した燃料電池も開発が進んでいる。石油社会から天然ガス社会への移行が進みつつある。天然ガスを原料として、従来の石油化学製品が製造されてきている。船舶や航空機燃料への利用も期待されている。

5.各国への影響

日本への影響として、天然ガス輸入先の分散化により、将来的には、エネルギーコストが下がり、天然ガス発電が増加する。製造業の国際競争力が増し、製造業の国内回帰に繋がることが期待されている。
日本領海のメタンハイドレートの開発と共に、エネルギー関連の国際的弱点をカバーできる将来図が描けるようになってきている。

シェールガス産出国での日本企業の採掘権拡大により、またシェールガス革命に必要な日本の技術(ガス発電プラント技術、特殊パイプの技術保持、液化関連の技術、公害防止技術等)で優位性を誇っている。
シェールガス輸入契約も着々と進んできた。
中国は、埋蔵量が世界最大であるが、内陸部であるという地理的ハンディキャップ、使用する大量の水の確保等、課題点もある。
ロシアにとっては、EU各国の需要の減少が見込まれ、中国、日本への売り込みをかけている。
中東諸国にとって、中長期的には、原油価格の低下が見込まれ、産油国を中心に経済的に厳しい状況になりつつある。
産業別では、重電機メーカーが復活しつつあり、運輸関連、航空関連、自動車産業等に大きな変革が訪れようとしている。

6.シェールガスの環境への影響

シェールガス開発における環境問題は重要である。フラクチャリング(水圧破砕)のために、大量の水を使用し、これに化学薬剤が入れられるため、地下水汚染や地盤沈下の問題が生じる可能性がある。こうした水は、再利用する方式が注目されている。
ただ、水自体の適切な処理(フローバック処理)は必ず必要であり、いろいろな処理法が提案されてきている。
また、火災や地震の誘発も懸念されている。シエールガスによる火力発電や水素ガス自動車の燃料としての利用においては、環境への貢献に資する試みが注目されている。

質疑応答

Q:天然ガスは液化して日本に運ばれているが、価格はどのようになっていくか?

→ 米国価格が4$とすれば、液化に3$、輸送に$かかり、10ドル/百万BTUとなるが、それでも、現状のLNG輸入価格の17$よりも安くなる可能性が高い。

      (文責 綾木光弘、監修 末利銕意)


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