Land Eco 土地第三者評価システムについて
著者: 古賀 正雄 講演者: 井上 健雄 / 講演日: 2005年11月24日 / カテゴリ: 講演会 / 更新日時: 2012年08月17日
環境研究会 第28回特別講演会報告 051124
日 時 平成17年11月24日(木)
テーマ 環境起業あれこれ -Land-Eco 土壌第三者評価システムについて-
講演者 NPO 法人 イー・ビーイング 理事長 井上 健雄 氏
1.講演の概要
(1)土壌汚染とは
近年、工場跡地等の再開発時の調査で「土壌汚染」「地下水汚染」が明らかになって騒ぎとなるケースが増えてきたため「土壌汚染対策法」(法律第53号:平成14年5月29日公布)が制定施行された。土壌汚染対策法では、土壌汚染とは鉛、砒素、トリクロロエチレン等の「特定有害物質」が土壌に含まれることに起因して人の健康に係る被害を生じる恐れのある状態としている。
(2)土壌汚染への対策
上記「土壌汚染対策法」では「使用が廃止された有害物質使用特定施設に係る工場又は事業場の敷地であった土地」の所有者及び、「土壌汚染による健康被害が生じるおそれがある土地」であると知事 が認めた時は環境大臣が指定する者に環境省令で定める方法で調査しその結果を知事に報告させ、汚染 の状況が人の健康に係る被害が生じる恐れがある場合は、その被害を防止するため必要な限度での措置 を講じることを命じるようになっている。
また、「不動産鑑定評価基準」に「土壌汚染項目」が追加された為「土地の売買や再利用時」に汚染 調査を行うようになってきた。
(3)土壌第三者評価の必要性について
「土壌汚染対策法」が制定施行され、当該土地の「土壌調査結果」を自治体に報告し、その「受理票」を公的な適正評価とされているケースが多い。それらの測定・評価は開発の関係者等が行いまた、自治体に「専門家」がいるとは限らないこともあり、調査結果や浄化結果の評価の正当性に「購入者や再利用者」が”疑心”を抱いておる例があるので、 客観的で公正かつ専門的な立場から「評価」出来る機関を作りこの疑心を払拭させる必要が出てきた。
(4)NPO法人イー・ビーイングの「土壌第三者評価システム」について
土地取引における「土壌汚染問題」は、資産価値の喪失、健康被害、知らされない不安など大きなリスクを背負っている。これまで土壌汚染調査や浄化の結果について関係者がこれらの情報を入手できる社会的な情報開示システムがなかったことを踏まえてNPO法人イー・ビーイングが次のシステムを構築しそれらの不安を取り除くようにしている。
① 公正な評価
評価は大阪産業大学人間環境学部都市環境学科の菅原正孝教授を委員長とする「土壌第三者評価委員会」を設け、「技術士」「学者」の委員が評価を依頼された案件の「土壌調査・浄化結果の報告書」を公正かつ専門的な立場で評価する様にしている。
② 評価情報の報告
「土地第三者評価委員会」での判断は速やかに依頼者(利害関係者)に報告する。
③ 評価情報の信頼性を高める手段
「評価」に対する「利害関係者・社会」からの信頼性を高める方策として、審査業務を手がけている株式会社中央青山サステナビリティ認証機構から、第三者評価システムの適合性および開示情報管理体制の適合性に関する審査を受けている。
2.質疑・応答
Q: 汚染が自然発生か人工発生かという判断をどのようにされているのか。
A: 汚染源は推定も入っているが、説明出来る様に5段階で評価している。透明性が大事である。
Q: 土地浄化対策の評価方法について。
A: 学者が持っておられる研究の成果や、他の事例等から当該土地の状況で双方が納得出来る値としている。 行政との調整も行っている。
Q: 日本技術士会の専門家が第三者評価を行う話もあったが、東京では第三者評価を行っているか。
A: 第三者評価を、他で行っている例は承知していない。(日本ではイー・ビーイングのみと思う)
Q: 土地第三者評価システムでの評価の実績は。
A: すでに一件の評価を実施した。
Q: 土地の評価は取引時に必要となるが「ハザードマップ」等を作成することまで考えておられるか
A:「ハザードマップ」の作成は目標としているが、現在は作成出来ていない。
Q: 現在は土地の所有者と開発者と汚染調査者の相互信頼のもとに調査して行政の確認を得ているが面識もない貴社の「第三者評価」を受けるメリットが小さいように思われるが。
A: 現在調査を実施されておられる方からの忠告と受け取るが、依頼人からの信頼が増えるように頑張って行く。
(文責:古賀 正雄)