CO2 25%削減に向けての戦略と社会・技術
著者: 山本 泰三 講演者: 植田 和弘、藤本 悟、 上川路 宏、大島 仁、 山下 紀明、山本 泰三、 / 講演日: 2010年01月23日 / カテゴリ: セミナー / 更新日時: 2012年03月29日
技術士と産学官合同セミナー「地球温暖化問題に関するシンポジウム」
テーマ:CO225%削減に向けての戦略と社会・技術
日 時 平成22年1月23日(土)13:00~17:00
場 所 大阪商工会議所401会議室
主 催 日本技術士会近畿支部
後 援 大阪商工会議所、大阪府、京都府、兵庫県、滋賀県,奈良県,和歌山県
大阪市、堺市、京都市、神戸市、
参加者 180名
目次
1.基調講演 「地球温暖化防止の環境戦略」 植田 和弘氏
2.パネリストの発表
① 低炭素社会を目指すウエーブメーカーへ 藤本 悟氏
② 積水ハウスの積極的な環境取組み 上川路 宏氏
③ 「DO
YOU KYOTO?」環境にいいことしていますか? 大島 仁氏
④ 自然エネルギーの活用を図るために 山下 紀明
⑤ 「日々のくらし」を中心にしたエネルギー・環境問題の今後 山本 泰三氏
3.ディスカッション
1.基調講演 「地球温暖化防止の環境戦略」
植田 和弘氏 京都大学大学院経済学研究科教授
はじめに
CO2の削減に向けては技術だけでは対応できない。政治、経済、技術、環境などを含む戦略作りの中で対応する必要がある。昨年10月に政府の依頼事項としてタスクフォースの座長を引き受けた。政権交代で25%削減目標について前政権の出した数値の検証からスタートしたが、RITE、国立環境研究所、日本エネルギー研究所のモデルに基づいて試算した結果が間違っていると言うことは難しい。
ただ、CO2を25%削減するためには国民負担が36万円/人増加するとマスコミに取上げられたが、この指摘は間違っている。モデルの分析結果をお金で表すと一般に分かりやすいが、前提条件として1.3%/年の経済成長があり、可処分所得の増加から22万円減額されるという試算である。ここでは、光熱費が14万円/年増加するとしているが、これはダブルカウントになっている。修正記事が新聞等で小さく出たがこの情報はインパクトが弱い。モデルの再計算というのは前向きとはいえない。
新市場、新産業のイノベーション
低炭素型の技術を通じて産業等を創出するのが本来の目的である。例えば中国は潜在需要が非常に大きいが、脱硫装置など既に国産技術での対応が増加している。米国などでは具体的な計算結果が公表されるが、わが国では企業や業界にはデータがあっても表に出してくれない。施策として、①キャップアンドトレード型の排出権取引、②温暖化対策税、③自然エネルギーの買取りなどがあるが、日本は抽象的であり中身が不明である。
「美しい星50」の目標について
このコンセプト提案は2050年にCO2を50%削減するというものである。いつからスタートする数字か、日本ではどのようにするかなどリアリティは乏しいが、世界的には評価された。
中国は国内的には真剣に取組んでいる。1983年に初めて中国に行った。また、1997年COP3の時に行ったが、それほどの取組みではなかった。わが国では車は7900万台/1.27億人普及しており、同じ状況なら中国では8億台に相当するほど大きな市場があり、必然的に車も使い方も変える必要がある。
先進国と途上国のCO2排出量は現在50:50であり、途上国ではCO2を増やさずに発展するLow Carbon Development、Low Carbon Societyの実現を目指す必要がある。したがって途上国が現在の50を維持することを目標にするなら、先進国は0が目標割り当てになる。このことを安倍元首相は理解していなかったと思われるが、節約ではなく低炭素革命、逆産業革命が求められる。技術の出番は大きいし、日本には知識、経験があり、これを活かすことができる。
目標のあり方
目標を決めると方向付けがはっきりするし、投資もしやすい。炭素に価格をつけることで、社会の基本になる生産要素の一つになる。なぜ企業が従業員の削減を図るかというとコストが減るからで、CO2も同様にコストを減らす動機付けになる。
トップの姿勢が重要
例えば自動車では排ガスの出ないエンジンを作れという方針を出すと、環境技術は生産技術の一つとしてポジティブに取組みが進む。「必要は発明の母」であり、このことが競争力を高める。結果として雇用や地方の活性化という社会経済問題の解決に寄与できる。
エネルギーと交通は重要な課題であり、別のエネルギーを使う等により25%削減ができる。エネルギー使用は機器を媒体としているので、車だけでなく、住宅や都市もエネルギー使用機器ととらえてストックの省エネに取組む必要がある。住宅の耐震設計もストックの改善である。住宅は車より寿命が長いので一つ一つのストックの状況を診断して見える化を図り改善を進めるためには専門家が必要になる。
トレードオフ論の克服
EUでは目標設定はトップダウンで行う仕組みがあり、技術革新が進む。環境破壊なき雇用と言う考え方が1983年に示され、それ以前にドイツでは緑の党ができた。環境と雇用の両立を図るために社会の仕組みを変えつつある。産業界は未来産業のために進歩、変革していくのである。
イノベーションについて
2020年は一里塚、通過点であり、2050年を考える必要がある。シュンペーターが提案したイノベーションは技術だけでなく、ものの売り方も含む広い概念であり、ソシアル・イノベーションが重要としている。創造性のある産業と地域の構築のために、1964年に横浜市がはじめて導入した公害防止協定などは、優れた発明品といえる。
2.パネリストの発表
藤本 悟氏 ダイキン工業株式会社 CSR・地球環境センター室長
基本スタンス
基調講演の植田先生のお考えと同じ考え方である。当社は先導的な取組みを図るため、ウエーブライダー(波に乗る)ではなく「ウエーブメーカー」(波を作る)を目指している。日経新聞のランクで永続企業として第3位の評価をえた。世界的には空調市場が増大しており、伸びが大きい。従って社会的責任も大きいので、経営トップの意向を踏まえて、事業と環境の両立をめざし、意識改革、構造改革を進めている。
インバータエアコンについて
日本ではインバータエアコンの普及に伴い、空調機は20年前から性能が2~3倍近くよくなった。自動車のように春秋と冬季では空調負荷が異なるので、インバータ+直流モータの組合せで、性能改善が進んだ。ただ、世界の温暖化抑制のためには、よいけれど高いということではダメである。新興国市場に省エネを普及するためには価格を下げることが必要である。そのために、年間1400万台を生産する巨大企業である格力電器と業務提携し、彼らの量産技術に当社の省エネ技術を注入し、省エネの普及機づくりに取組んでいる。
現在中国では、インバータエアコンの普及率は7%であるが、補助金を活用し本年は17%を越えるといわれている。ちなみに米国ではまだインバータエアコンは普及していない。CO2削減効果についてみれば、2030年までを見ると、原子力より省エネエアコンの方が、効果が大きい。
ヒートポンプについて
ヒートポンプ暖房はEUなどでは3年で倍増しており、世界のCO2排出量の8%を削減できるポテンシャルがある。自動車でいうと35億台のプリウス(ハイブリッドカー)に相当する。ダイキンのヒートポンプ製品はここ3年で10倍以上に売上が伸びており、昨年にはEUでの給湯暖房用の市場を拡大するためにドイツのロテックス社を買収した。また、ダイキンはフッ素化合物事業も行なっているが、環境シフトを実行しており、二次電池の電解液など新しい成果が出始めている。
ものづくりのコンセプト
ものづくりについて「ウエーブメーカー」へ進むために、従来のプロダクトアウト型からマーケットインへ、さらにカスタマーインへと変わって来ているが、今後は「ソーシャルイン型」へと変えていく。このことで、世の中の流行に遅れず、堅実に事業展開を図ることができる。
上川路 宏氏 積水ハウス株式会社 環境推進部環境推進グループチーフ課長
環境への取組み
1999年に「環境未来計画」を発表するとともに「人・街・地球に調和し、お客様に満足いただける住まいづくりを通じて持続可能な社会の構築に寄与する」との環境憲章を策定した。
2005年には「サステナブル宣言」として環境ビジョンを発表し、「環境」「経済」「社会」「住まい手」の4つの価値のバランスを追及している。
環境価値の実現のために「エネルギー」「資源」「生態系」「化学物質」について実現指針をつくり、具体的な取組み展開を図っている。
具体的な取組み
例えばCO2オフ住宅の開発・普及とともに、「グリーンファーストモデル」として京都議定書の目標に配慮してCO220%削減に取り組みこれを達成した。新築住宅については、太陽光発電や燃料電池を採用してCO280%オフ、100%オフも可能である。これらの取組みにより「快適性」、「経済性」、「環境配慮」を実現しているが、重要な要素技術として断熱性向上などがある。
「グリーンファーストモデル」の住宅は当社のシェアに占める割合は60%であり、さらに70%に増加しつつある。また、エバループ事業として、中古住宅を買い取り、再生しての販売や、生態系を保全するための木材の調達利用や化学物質対策としてケミケア住宅の取組みを推進している。
CO2オフ、サステナブル社会の実現に向けて
燃料電池の採用実績も1100台と大きな割合を占めており、CO2削減効果は大きい。ゼロエミッションハウスについて、例えばソーラーパネルは瓦一体型の採用により、デザイン性に配慮している
資源循環については、建築施工過程での廃棄物のゼロエミッションを実現し、その中で資源循環としてマテリアルリサイクル比率を90%においている。また、生態系を保全するための「5本の樹」計画による緑化率のアップ、里山再生や消費地に近い産出木材の利用、木材調達などを推進している。さらにサステナブル社会の実現に向けてゼロエミッションセンターでの取組みなど、リーディングカンパニーとしてさらなる向上を図っていく。
③『「DO YOU KYOTO?」環境にいいことしていますか?』
大島 仁氏 京都市地球環境政策監
京都と環境
京都はCOP3の開催都市として有名である。昨年末COP15に参加したが、京都の認知度は高かった。「DO YOU KYOTO?」は「環境にいいことしていますか?」という気持ちを込めたキャッチフレーズである。
COP3の後、条例の条文に2010年にはCO2の10%削減を書き込んで取組みを推進している。条例本文に数値目標を明記した条例は他にはない。また、3年前に市の各局をまたいでの温暖化対策を推進するため「地球環境政策監」ポストを創設した。
CO2の排出量削減に向けて
CO2排出量は民生(家庭用、業務用)で1990年比20%以上と大幅に増加している。そこで環境家計簿など家庭部門に着目した多様な取組みを行っている。また、省エネラベルを義務付けるなどの取組みを進めているほか、小学生を対象にした「こどもエコライフチャレンジ」は全校に広げる計画である。環境学習の拠点である「京(みやこ)エコロジーセンター」での体験学習や各種展示の充実を図っている。
1996年から天ぷら油を各家庭を中心に1400箇所の拠点から回収・再生してバイオディーゼル油を精製し、市バスやゴミ収集車の燃料として利用している。ソーラーパネルの設置は、ほぼ市内全域に及ぶ新景観政策とマッチするよう、助成金を増額して普及を支援している。
環境モデル都市として
低炭素社会の実現に向けて国が全国13の自治体を環境モデルとして選定した。CO2を2030年までに40%削減の推進計画を設定した。「歩くまち・京都」の推進など6つの取組方針と4つの重点プロジェクトを設定し、公共交通の利用、自動車の流入規制などの実験的取組みを進めている。電気自動車の普及については、充電設備の設置など、社会インフラ整備のきっかけ作りをしている。
「木の文化を大切にするまち・京都」は、例えば「平成の京町家」は外観を意匠は守りつつ、内部は通風や採光などこれまでの知恵を生かした省エネ型の建屋にする工夫を進めている。「CASBEE京都」は京都らしい環境配慮型建築物像を明確化・共有化するために「大切にする」「ともに住まう」「自然から作る」のキーワードにより、「京都版システム」を作っている。この京都らしい仕組みが普及すればと思っている。
ライフスタイルの変革について
環境にやさしい取組みの推進に向けては、京都に息づく知恵を活かしながら、ライフスタイルの変革を進めたい。例えば、問題提起として始めたコンビニの24時間営業の是非についても、今後モデル実験で営業時間を短縮するといったこともやってみたい。
今後とも「DO YOU KYOTO?」をキャッチフレーズに、京都らしい取組を発信していきたいと思っている。
山下 紀明氏 NPO環境エネルギー政策研究所主任研究員
自然エネルギーの普及提言
当研究所の飯田所長は政府のタスクフォースのメンバーとして自然エネルギーの普及等について政策提言をしている。私は大学の工学部で材料研究などに関わっていた。当NPOでは自然エネルギーについて関係先の取組みのヒントづくりのために、産学官と違う立場で提言し、実現に向けて活動していきたい。
私自身は2050年までは生きるつもりであり、その中で次の3つの取組みを提案したい。
① 自然エネルギー市場の急成
② 政策が作る市場について
③ 市場が作り出すチャンスについて
市場の変化と自然エネルギー
株式の時価総額を見ると、自然エネルギーに関わっているメーカーの規模は中国やEUでは既に日本のベスト10の規模にまで育っている。ドイツではすでに20年前から取組みが活発化し、その中で雇用も拡がっている。2009年には米国企業が自然エネルギー関連企業のトップに躍り出た。
昨年スペインに行ったが、バルセロナにあるサグラダファミリア教会の上から街を眺めた。7階建てのマンションの屋上に太陽熱温水器が設置されている。バルセロナでは新築住宅に条例でこれの設置が義務付けられている。
日本では、新政権の政策の中で、50兆円の市場、140万人の雇用を目論んでいる。東京都は政策により自然エネルギーの採用を街づくりの中に取り込み、100万kWの普及を位置づけている。大規模開発では検討を義務付け、採用しない場合は説明を求める仕組みを作りつつある。
ストック対策も
横浜市では助成制度にソーラーが入っており、金融対策などストックを改善するきっかけになりつつある。ベランダ設置型の太陽熱温水器と都市ガスや電力の補助熱源との組合せシステムなどがあり、各種の政策パッケージにより行政との連携が進みつつある。これらの動きを通じて社会の方向性の変化に答える技術開発が刺激される。グリーンのビジネス化とともに、ビジネスのグリーン化が進みつつある。
⑤『「日々のくらし」を中心にしたエネルギー・環境問題の今後』
山本 泰三氏 株式会社エコ・サポート代表取締役、技術士(環境、総合技術監理)
40年前からの状況
エネルギー・環境問題は2050年を見据えた取組みが必要であり、40年前(1970)に遡って自身の経験に照らして検討を加えた。
40年前(1970年)は大阪万博があり、わが国はGNPが世界第2位になるなど高度成長期であった。しかし、住宅は貧弱なストックで、既築住宅での設備改善も重要テーマであった。
この時期に住宅公団と東京大学、大阪ガスが共同で実験集合住宅を大阪府の東豊中に建設し、実際に居住する中で様々なデータを収集したが、主目的は将来の量産化工法・システムの開発推進であった。その後、大阪ガスでは1993年にNEXTという実験集合住宅を建てて5年×2回の居住実験を行ったが、エネルギー利用システム、コミュニティづくりなどが主要テーマとなった。
我が家の居住環境の変化
1971年から集合住宅に10年住んだ後、既築の戸建住宅に移った。暖房を中心としたエネルギー利用の快適性を求めて、1990年頃に建て替えを行った。この時には50年以上快適に住み続けられることを条件にして床暖房や断熱対策、リビングルームでの複層ガラスの採用などを行ったが、問題が残った。当時、断熱・気密について建築業界の意識がそう高くなく、施工性が不十分で夏場屋根から入る熱で部屋が高温になる。人口庭の下に作った部屋の断熱性は十分であるが、窓からの透過熱が大きく、冬場の朝は外気温近くまで低下する。複層ガラスなどの部材は非常に高価で、まだ一般的でなかった。
これからの住環境
2000年に建設されたH氏宅の居住環境がインターネットで公表されている。冬場外気温が0℃前後になるが、居間では常に10℃以上と快適性を確保している。ちなみに茶室は5℃以下に下がるので、断熱・気密性能の良さが確認できる。
我が家の光熱費を見ると年間では平均程度であるが、冬場はかなり消費量が多い。今後、この家を改善していく必要があるが、信頼できる相談先、施工先が見えないし、お金もない、急いで改善するインセンティブもない。ただ、いずれは屋根からの熱対策を含め太陽光発電設備を導入し、その時に断熱改善を進めたい。断熱塗料、断熱フィルムなどを採用して短期間に改善できる工法が実用化し、普及することが望まれる。
今後に向けて
CO2削減に向けてはストックが多い既築住宅対策がとくに重要である。この市場開発には相談先、施工業者の育成や部材工法の開発、制度政策面での工夫、情報提供・開示などが重要になる。技術士会の中でも情報発信の工夫、研究会の設置などを通じてこの問題に取組んでいくことを願っている。
植田教授をコーディネーターとしてパネリスト5名が会場からの質問や意見に答える形でディスカッションを進めた。各パネリストの発言は基調講演に沿ったものとして方向性は統一されていた。
最後に植田教授が全体を締めくくる形でコメントされた。
Q:CO2削減商品などのコストはどの程度か? どのように評価すべきか?
A(F):インバータ・エアコンを世界に普及させるためには、コストダウンが絶対条件である。技術開発のテーマや戦略展開は色々あり、積極的に取組んでいく。
A(K):住宅用の燃料電池コジェネは、出力が1kwで310万円である。現状は補助金が140万円付いて10年間保証であるが、今後さらなるコストダウンが必要である。ソーラー発電は70万円/kWで補助金は13万円/kWあるので、約7年で回収できる。
A(O):京都の高僧がおっしゃった話であるが、人間は損得により行動する。従って魅力的なコストにする努力は必須である。
A(YS):政策、助成制度を活用して自然エネルギーの市場開拓・普及が進んでいく。わが国も目標を明確にして政策を立て、対策を推進していくことが重要である。
A(YM):住宅もエネルギー使用機器と考えると、既築対策に踏み込まざるをえない。市場は大きいので、取組み方を工夫してコストダウン等を図っていくが、多くの課題を克服する必要がある。
Q:途上国のCO2削減に向けての動向は? 又、国としてCO2削減のコストとメリットは?
A(U)中国は対外的には公約を拒否しているが、国内ではしっかりやっている。環境対応は米国より進展が速いと思う。東アジア環境経済共同体構想を進めるために、東アジア環境経済学会を立ちあげる計画を進めたい。
・CO2削減については、費用だけでなく効果も評価しつつ政策を作り推進していく必要がある。
国際的な取組みのために、競争社会だけでは共存はできない。協力社会とすべきだ。途上国の発展を制限する代替として先進国は資金とノウハウを出す必要がある。
・鳩山首相の国連での演説に最も多くの拍手があった。1月末に国連に排出目標を届ける必要があり、鳩山首相が公約したCO225%削減で内容は変わらないと思う。日本は戦略的にこれを推進すべきである。この場合、CO2削減の推進はコストではなく成長戦略と捉えることが重要である。
・CO2税のかけ方は直接か間接か議論がある。一方で、課税に際して電気とガスのCO2換算係数の取扱いの問題が残っている。
Q:民生部門はCO2が大幅に増えているが、どう対応すべきか?
A(U):重要な問題であり、この分野でも技術士の方々の活躍を期待している。
コメント
参加者も多く、内容も充実したシンポジウムだった。終わってからの懇親会でも活発な意見交換があった。発表の詳細については、動画、音声とパワーポイント資料をインターネットで会員等向けに配信できるようにまとめた。近畿大学理工学部情報工学科森山准教授のゼミと協働で仕上げたものである(別途、技術士会本部でも会員向けに配信するようになっている)。
ただ、近畿地区の自治体など11の後援団体には広報等でご協力頂いたが、このルートでの参加が少なかった。マスメディアからは日刊工業新聞社や専門誌の支援があった。今後は、技術士会内で報告・発信するだけでなく、対外的な発信の仕組みを見直し情報開示していくきっかけにしたい。