技術者倫理、 環境アセスメント、 情報発信 (会員講演)

著者: 苅谷 英明 講演者: 田岡 直樹、坂本 重治、山本 泰三  /  講演日: 2010年04月26日 /  カテゴリ: 講演会  /  更新日時: 2012年08月17日

 

【環境研究会総会・例会報告】   100426

日時:平成22426日(月)

 

会員講演

(1) 科学技術社会的観点からの技術者倫理

田岡直規氏 技術士(機械、総合技術監理)

近年、食品安全問題、医療問題、情報セキュリティ、環境問題などで、技術者倫理が問われる重大な事故や事件が頻発しており、科学技術的観点と社会学的観点のインターフェースに立った科学技術社会学的観点からの技術者倫理が必要不可欠である。
これまで起こった事故や事件を科学技術社会論的に見ると、次の2つに分類でき、ここでは、①の問題に焦点を当てて考察する。

①科学の特性に関する公衆の認識のギャップから生じる問題
②問題解決の仕組みについての問題

①の問題は、科学は、つねに万能であるという公衆の認識がある一方、実際は、未知の部分の解明が時刻々と行われている(いわゆる「作動中の科学」)であるというギャップから生じているということである。今までの、水俣病、BSE問題や薬害エイズ問題では、公衆の「作動中の科学」の認識に対する欠如が、公衆と科学者、あるいは、技術者の過ちであったことを十分に認識する必要がある。

技術者や研究者は、科学技術を公衆に十分に理解してもらうために読み書きする能力(科学技術リテラシー)と、自己の専門分野をどのように社会に展開していくかを読み書きする能力(社会リテラシー)の2つのリテラシー機能の向上を図り、技術者と公衆の双方向のコミュニケーションを行うことで、①の問題であるギャップを埋めることが必要不可欠である。

技術者や研究者は、特に作動中の科学に対しては、安全面において予防的な対策を講じる必要があり、予防的な観点から科学技術リテラシー機能の公衆への伝授が期待されている。
これによっていわゆる専門家の説明責任を果たすことが、科学技術社会的観点からの技術者倫理であるといえる。

 

(2) 環境アセスメントの講座の報告

 坂本重次氏 技術士(環境)
大阪府立工業高等専門学校の環境都市システムコース(5年生)に対して環境アセスメント講座を昨年10月から半年間で実施。その活動内容についての報告である。

講座の概要の紹介

授業科目 :環境アセスメント
期間   :200910月~(授業15会、中間試験、学年末試験)
担当教員 :山本泰三氏、坂本重次氏、石塚幹剛士、森和義氏、石川浩次氏で分担
講座の視点:社会に出て求められるもの伝達、技術力と説明能力の育成、社会経験の伝達
講座内容 :法制度・技術、アセスメント実例検討
演習例  :ケーススタディ、環境アセスメントにおけるコミュニケーションの方法、大気拡散シミュレーションによる計算等

本講座は今年度も実施予定であり、学生には最新の情報を伝達するとともに、社会に出てからも将来(の環境)を評価するという授業の本質について、学生の想像性・創造性を伸ばす授業にしていきたいと考える。環境研究会へのご指導・ご協力をお願いしたいとのとのことである。

 

(3) 環境研究会のホームページの構想と運営について

山本泰三氏 技術士(環境、総合技術監理)

技術情報を技術者が発信することが望ましい場合が多く、一方で、20世紀は知識・情報が爆発的に増大し、「知識の構造化」を図らなければ、使いこなせないとの指摘がある。この現状を受けて、「知識の構造化」を図り、「集合知」として活用できる情報ツールとなることを願い、ホームページを作成していくことを考えている。
「知識の構造化」を図るために最適なツールである「mind-map(マインドマップ)」というソフトウエアを活用して、情報の有効な蓄積・活用を図る予定。

  構成案について

Ø    検索エンジンにHITしやすいようにキーワードに配慮する。

Ø    各ページにアクセスしやすいように工夫する。「集合知」、「知識の構造化」の狙いを訴えるため、mind-mapsをトップページに置く。

Ø    ネットワークづくりに資するように、リンク先のホームページについて、紹介記事や代表的な記事を掲載して「know how」につながるように心掛ける。

運営等について

Ø    当面は管理者を置き、記事の仕分けをして掲載する。

Ø    動画配信は当面は会員向けのサービスである。特別講演等は、動画配信を意識して発表者の方に1020分程度に要約していただくよう心掛ける。

Ø    投稿は会員以外からも広く受付られるようにする。

Ø    近畿大学理工学部情報学科森山真光准教授のゼミと協働でHPを作り上げていくが、環境研究会側の技術アドバイザーとして情報工学の技術士に協力していただく。

(文責 苅谷英明)


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