廃棄物・RDF発電の再評価について ~二酸化炭素排出抑制とRDF活用のポイント~
著者: 苅谷英明 講演者: 鍵谷 司 / 講演日: 2011年04月28日 / カテゴリ: 講演会 / 更新日時: 2012年08月18日
【平成23年度 環境研究会第52回特別講演会】
日 時:平成23年4月28日(木)18:30~20:45
場 所:アーバネックス備後町ビル3階ホール
講演1:廃棄物・RDF発電の再評価について
~二酸化炭素排出抑制とRDF活用のポイント~
講師:鍵谷 司氏 環境計画センター専任理事 技術士(衛生工学・建設・環境)
1)日本の電力に関する現状
日本の電源別発電量は、火力65.8%、原子力25.6%、水力6.6%、その他1.9%(2007年データ)であり、火力発電に依存した発電構成となっている。一方で、火力発電は他の電源と比較して、発電量あたりのCO2排出量が多いことが問題である。また、原子力は事故の際の影響が甚大であることが問題である。
2)廃棄物発電について
平成20年度のごみ焼却発電状況は、約160万kWh(一般の原子力発電施設2基分程度)であり、それほど大きな発電量は占めていない。
廃棄物発電時のCO2排出量は、発電効率が11.1%(267kWh/ごみt)と低いこともあり、約1,251~2,320g-CO2/kWである。ストーカー方式の場合のみ売電可能な発電量が得られ、CO2排出量削減が可能である。一方、RDF発電によるCO2排出量は、発電効率が28%以上(推定1,500kWh/RDFt)と高いために、302g-CO2/kWと低い。
3)RDF活用のポイントについて
① 3Rの推進に伴うごみ総量の減少、生ゴミ率の増加による発熱量の低下
安定操業ができないことや、発電効率の低下の問題につながる。このため、RDFを火力発電の助燃剤に活用することの検討が必要になる。
② RDF貯蔵時における安全対策
発熱を伴う好気性発酵ではメタンやCOは発生しない。発熱は有機物の酸化反応によるものである。保管時には、蓄熱を防ぐ貯留構造物の検討が必要。
温度管理は、保管場所の中央部・上部・下部で実施する(表層温度が60℃の時は、内部は200℃程度になっており、内部を空冷、内部空気の換気等を実施する)。
内部空気中の酸素濃度の低下措置やCO管理を実施する必要がある。
質疑応答
Q: 広域でRDFを収集する必要があると思われるが、輸送などを考慮したCO2排出量のLCA評価はどのように考えているか。
A: 石川県の場合、RDF製造施設を7か所設置し、RDF発電施設を1か所設置している。輸送のCO2排出量はそれほど大きな割合を占めない。
Q: RDF発電は他の発電とコスト面から比較した場合どうであるか。
A: 一番コスト的に安いのは、原子力発電であると思われる。ただ、原子力発電の試算は、放射性廃棄物の保管・処分コストが含まれていない。
(監修:鍵谷 司 作成 苅谷英明)