環境サプライチェーンマネジメントの実践と課題
著者: 苅谷英明 講演者: 上田泰史 / 講演日: 2011年04月27日 / カテゴリ: 講演会 / 更新日時: 2012年08月18日
【平成23年度 環境研究会第52回特別講演会】
日 時:平成23年4月28日(木)18:30~20:45
場 所:アーバネックス備後町ビル3階ホール
講演2:環境サプライチェーンマネジメントの実践と課題
講師:上田 泰史氏 ダイキン工業株式会社 技術士(総合技術監理・環境)、博士(工学)
1)会社紹介
事業:空調機器、空調冷媒の製造から派生するフッ素化学、油圧機器、精密機器等
従業員数:11,044人(日本)、27,830人(世界)、2/3が海外従業員
2)環境サプライチェーンマネジメント(SCM)グリーン調達の実践
グリーン調達の実践のきっかけは、EUの環境規制(RoHS指令、REACH規則、WEEE指令、ErP指令)対応である。
当社では、グリーン調達の取り組みを環境経営の重要活動と位置付けており、調達、製造、輸送、使用、廃棄段階の環境負荷低減に必要な取り組みと考えている。また、製品環境負荷低減の際に、サプライヤーと連携するためのツールとして位置付けている。
当社要求事項に対して積極的に取り組むサプライヤーを優先して調達取引を実施しており、その基準は、「ダイキングリーン調達ガイドライン」として公表している。
グリーン調達ガイドラインの要求事項は、次である。
①サプライヤーの環境経営に関する要件(EMSの構築状況、法順守、環境自主改善活動、情報提供)
②製品に関する要件(化学物質使用に関する情報、包装材の適正化、環境配慮設計の実施)
グリーン調達調査票による調査を実施し、グリーン調達要求事項を満たさない取引先には、個別支援を実施する。
3)グローバル展開と課題
国・地域によって化学物質管理を中心にサプライヤーの対応レベルに差があるため、サプライヤーへの啓発や化学物質管理基準の明確化、発展途上国のサプライヤーへの環境品質管理強化を実施する必要がある。また、カーボン・ディスクロージャー・プロジェクトのスコープ3(サプライヤーの温室効果ガス管理)対応をしていく必要がある。これらに対して順次対応していく。
質疑応答
Q: 法規制等の環境対応レベルの厳しさが異なる各国の対応方法はどのようにしているか。
A: ベースとなる対応方法は同じであるが、規制の厳しくない国に対しては、適した管理レベルで実施している等のメリハリをつけた対応を行っている。
Q: EMS構築に、エコアクション21を入れていない理由は。
A: 国内の説明会等では、エコアクション21の採用も良いと説明しているが、当社グループ全体としてはグローバルに展開しているため、ガイドラインに記載する場合は、国際標準であるISO14001を採用している。
(監修:上田泰史 作成 苅谷英明)