環境マネジメントにかかる最近の動向
著者: 寺川 博也 講演者: 苅谷 英明 / 講演日: 2011年10月31日 / カテゴリ: 講演会 / 更新日時: 2012年08月18日
【環境研究会 特別例会】 111031
日 時:平成23年10月31日(月)18:30~20:30
場 所:アーバネックス備後町ビル3階ホール
講演1 環境マネジメントにかかる最近の動向
講師:苅谷英明 技術士(環境部門) KPMGあずさサステナビリティ株式会社
KPMGあずさサステナビリティ株式会社は、環境・CSR(企業の社会的責任)情報の第三者保証業務、温室効果ガスの検証業務などを実施する会社である。KPMGとは、監査、税務、アドバイザリーサービスを提供する専門家会社のグローバルネットワークであり、各分野の専門的知識やスキルを活用したサービスを提供している。講師の苅谷氏は、企業への環境・CSRに関わるアドバイザリ業務、環境監査、CSR報告書等の保証業務に従事されている。
1)環境マネジメントについて
企業が取組む環境課題としては、下図の5つに分類できる。環境コミュニケーションでは環境報告書や立場や意見の異なる者同士が共通の問題意識の下に意見交換し、相互理解を深めようとする取り組みがある。
2)環境マネジメント(EMS)の活用
過去における企業の環境問題への意識は、環境部のみの課題として扱われてきた。そのため他部門では、環境課題への意識が薄く、十分な解決に結びつかない場合があった。現在は、企業ごとに濃淡があるものの、他部門でもグリーン調達などを通じて環境問題を自身の課題として認識されつつある。今後も各部門に内在する環境課題を顕在化し、より良い解決に導くことが望まれる。
3)ISO26000(SR:組織の社会的責任)について
ISO26000は、2010年11月に発行された。すべての組織を対象とする社会的責任(Social Responsibility)に関する世界初の国際規格である。この企画の特徴は、次にある。
① 民間営利企業のみならず全ての組織が対象
② 認証を目的としないガイダンス(手引書)の位置づけ
③ 世界中の政府、企業、労働者、消費者、NGO、有識者の代表による議論に基づき策定
この規格は、「持続可能な発展」への組織の貢献を促すことを意図している。また法令順守が社会的責任の基礎部分とし、組織がそれを上回る活動を奨励している。認証や規制のために作られたものでなく、企業が自社のCSR経営を国際的な要請や期待に照らして“評価”するためのモノサシの役割を持つものである。
(文責:寺川博也 監修 苅谷英明)