QMS,EMSは中小企業でこそ効果的な活用が可能!
著者: 寺川 博也 講演者: 山本 泰三 / 講演日: 2011年10月31日 / カテゴリ: 講演会 / 更新日時: 2012年08月18日
【環境研究会 特別例会】 111031
日 時:平成23年10月31日(月)18:30~20:30
場 所:アーバネックス備後町ビル3階ホール
講演2 QMS、EMSは中小企業でこそ効果的な活用が可能!
山本泰三 技術士(環境、総合技術監理部門) 株式会社エコ・サポート代表取締役
講師は、大阪ガスを退職後、現在まで十数年にわたってISOコンサルタントとして活動されてきた。雑誌「ISOマネジメント」の2011年同誌10月号にて35ページにわたる特集記事を、自身の経験やノウハウをもとに執筆された。特集記事の内容は、1)ISOの活用のための提案、2)品質マネジメントシステム(QMS)と環境マネジメントシステム(EMS)の統合システムの紹介、3)環境リスクとサプライチェーンマネジメントに分かれる。今回の講演では1)および2)について解説をしていただいた。
1)ISO活用のための提案
品質マネジメントシステムは8つの原則を意識することで、より成果を上げることができる。企業の役割は二つ、顧客と供給者(取引先)との関係を念頭において、プロセスアプローチや事実に基づくアプローチなど三つの手法を用いて継続的改善を図ることが永遠の目標になる。
2)支援ツールと取り組み
企業のマネジメントシステム構築を支援する際のツールの開発を進め、使い込んできた。
① キックオフ・ミーティング(プロジェクトの開始を宣言するため)の開催。
② マニュアルと様式の雛形(テンプレート)を提供し、現状に合わせて修正を加える支援。
③ 製造(加工)指示書等を各企業の実務に合わせて作成する支援。
④ 手順書を各企業の実際に行なわれている業務をもとに作る支援。
⑤ 内部監査員の養成研修を実施し、規格・監査の理解と全員参加の活動を支援。
⑥ EMSの構築において、理論的には環境側面の抽出・評価が重要であるが、作業が難しく煩わしい。
講師は「マインドマップ」(知識の見える化を行ないやすくした思考技術)を用いて抽出と評価を分離し、効率的で分かりやすい作業を可能にした。
3)QMSとEMSの統合化
品質向上を目指すISO9001(QMS)と、材料やエネルギーの環境負荷削減を目指すISO14001(EMS)という本来目的が違う両システムについて、マネジメントシステムのあり方を追求すると、「不良・クレームの減少」に注目すると両システムの共通の目的となる。これによりQMSとEMSのマニュアルの統合の有効性を増すことができる。QMSとEMSを統合化すると、分かりやすく効率的な運用が可能となり効果及び付加価値が大きい。
① 認証取得までの時間の節約
② 内部監査やマネジメントレビューの活動が半分になる
③ 共通の目標により管理・運用の効率化が図れ,小規模事業者にも分かりやすい。
コンサルティングのスキルや支援ツールを公開・提供し、普及させることが期待できる。顧客企業に対し大きな付加価値が提供できるので、ISOマネジメントシステムに対する評価の回復、営業活動、コンサル活動を積極的に行ない市場創造が期待される。
(文責:寺川博也 監修:山本泰三)