日本の森を守る・使う・活性化させる  ~森林との共生を目指して~  (トピックス:森林の除染について)

著者: 山崎 洋右 講演者: 綾木 光弘  /  講演日: 2011年12月12日 /  カテゴリ: 講演会  /  更新日時: 2012年08月18日

 

【環境研究会 会員発表会】

日 時:平成231212日(月)18:3020:30
場 所:アーバネックス備後町ビル3階ホール

  

講演1  日本の森林を守る・使う・活性化させる
          
  ~森林との共生を目指して~

トピックス:森林の除染について)

講師:綾木 光弘氏  技術士(森林部門) 

1)森林の現状

我が国の森林は約2500ha、所有形態は58%が私有林、31%が国有林、11%が地方公共団体所有の公有林である。日本の林業の現状は非常に厳しい。

昭和50年の林業産出額は約9000億円、内木材生産額は約8000億円と90%近くを木材が占めた。しかし、平成19年では林業産出額が約4000億円と半分以下に減少、木材生産額も約2000億円と約1/4に減少、林業産出額に対する割合も約50%に低減した。外材の輸入等により林業の存立基盤が失われたのである。

日本の木材自給率も、昭和40年に71%であったのが、平成19年には20%迄低減した。高齢(65歳以上)化率については、昭和40年は全産業で4%、林業が4%であったのに対し、平成17年には全産業が9%に対し、林業は26%と高齢化が著しく進行した。

2)森林を守る・使う・活性化させるために

①『行政(国・地方)として、何をすべきか』:基本方針と施策をしっかりと示すこと。
②『林業従事者として何をすべきか』:一般市民との協働を検討すること。
③『一般市民として何をなすべきか』:サポーター的活動を推進するとともに森林の効用を十分に享受すること。が必要。

そのために、以下の対応を早急に検討する必要がある。

a)森林の多面的機能の持続的発展に向けた整備・保全。
b)林業の発展とそれを支える山村の活性化。
c)林産物の供給及び利用の促進。
d)発展のための研究・技術開発。
e)国有林の適切な管理と活用。
f)国際的取り組みの推進(植樹、違法伐採防止技術、等の国際協力)

平成2l年に林業関連予算6000億円(6割で森林整備と林業復興)、国有林特別会計5000億円が計上された。対策を遂行するためには、比枚的短期的視野と100年以上の長期的視野の両方の視点で考えるバランス感覚が必要である。

林業再生の施策として、「①産材利用促進(公共建築物の国産材利用・木づかい運動) ②間伐等の促進 ③緑の雇用(仮称) (生産性・安全性指導) ④関連事業総合地球温暖化防止」が必要である。林野庁の人材育成検討委員会では、「①フォレスター育成(トータル中核人材) ②森林施業プランナー(森林計画策定の中核人材)などの取り組みを進めている。

技術士の役割は「①林産物推進のための技術的サポート、ビジネスモデル提示と設立サポート。②NPO/ボランティア活動団体との協働、企業との協働 森林の有効性広報。③林業再生のための協議、政策立案サポート ④海外への技術援助・交流 ⑤森林・林業の新しい動向。」が挙げられる。

また、トピックスとして、放射線汚染物質がどのように森林に付着し、拡散するかなどの説明があった。演者は森林部門の技術士として、わが国の林業再生に向けた強い熱意が伝わってきた。 

 (監修:綾木光弘  作成:山崎洋右)


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