東北研修旅行を終えて ~提言と感想~
著者: 蒲生 孝治 講演者: / カテゴリ: 東北地区 / 更新日時: 2012年04月25日
環境研究会 東北研修旅行 参加者報告
日 時:平成24年3月20~21日
場 所:宮城県
東北研修旅行を終えて ~提言と感想~
蒲生孝治 技術士(環境部門)
【全体感想】
今回初めての参加で、かつ先輩諸氏も多く最初はかなり緊張した。更に今回の研修旅行を企画していただいた山本泰三氏は、私が2007年に環境カウンセラー資格を受験した際の面接官の一人と知り、より緊張感が増した。
一方、参加者からの都度の質問は専門的で、しゃべりに無駄がなく的確で、ハングリー精神も旺盛、多くの知見を有する有識者が揃うこの技術士会ならではの雰囲気が漂っていた。日頃のぬるま湯学生と付き合っている身には新鮮な経験であった。夜の懇親会では多くの方とプライベートな会話ができ、一泊研修旅行ならではの一時を過ごした。
さて、本研修会の目的は、当然見学先や講演において知見を深めることではあるが、上記の如くヒューマンネットワークを構築することも非常に重要な目的である。そこで、提案だが、
①参加者が多様性に欠けており、より若手の参加、女性の参加を増やす工夫が必要と思われる。
②宿泊料金は高くなってもよいのでホテルは個室にしてほしい。夜も独自の仕事をしたいしプライベートの時間も欲しいからである。畳10畳に4人はキツイ。布団を引くと歩くスペースもないほどであり隣の鼾が気になり眠れなかった。
③感想文は強制ではなく有志にしてはどうか。参加者の必須要件では緊張感はあるものの「やはり止めておこう感」が増す。
祭日でしかも雪が舞う極寒の中、東北本部の岩渕善弘氏には大変お世話になった。ボランティア以上のものがあり、感謝の念に堪えない。なお、私は本来業務と重なったため二日目の午前中早くにグループを離れた。二日目の貴重な機会を逃したことが非常に残念であった。
【個別感想】 以下では、各イベントについて大まかに記録したい。
■講演1 (大草芳江氏)
3点の質問をさせて戴いた。以下にQAの概要を記す。
①本研修で講演される意味は「技術士会は科学・社会・教育を基本原則に置くべき」とのメッセージ発信か?
→以前に技術士会で講演させてもらい技術士会とは親しくしている。その後の活動を知ってもらいたかった。
②一般に教育イベントでは若い男性の参加者が少ないが、サイエンスデイの参加者5,811人の属性は
→大人の男女比は女62.4%等、報告書のP.08-09に記載あり。
③必要経費はどこから得ているのか?
→報告書の印刷費など実経費はJST(科学技術振興機構)からの補助金で賄っている。
■講演2 (古舘淳光氏)
後日、今回使用されたスライド34枚をメール添付で戴いた。貴重な経験を大学の講義で伝えるつもりである。特に印象に残ったことは、これから訪問する女川町は(死者+行方不明者)/総人口の値が9.10%であり、市町村で最大であったと知った点。及び死者575人に対して行方不明者347人で行方不明者が極めて多いという点である。津波の被害が大きかった証左であろうか。
■女川町地区 視察
家屋の7割が津波で流失するなど壊滅的な被害を受けた。がれき類はほぼ片づけられてはいるが、1年前の凄まじい状況を想像し得る横倒しになった鉄筋コンクリート造りのビル(江島共済会館、女川交番等や更地になった広大な土地は目を覆うばかりであった。仮設住宅も見学したがこちらは立派(すぎる)という印象である。また、早期の復興に向けて人々がもっと活発に活動しているかと思っていたが、実際は住民や復興のための人が少なく寂しい雰囲気であった。人と言えば我々のように視察団体や自家用車での個人視察者が多く地元の人はあまり見かけなかった。現在はボランティアより復興のプロが必要とのことであろう。
なお、簡易な放射線量計を持参した。1日目の各所における放射線量は仙台空港:0.11μSv/h、株式会社復建技術建物内:0.16μSv/h、折立団地:0.11μSv/h、女川町地域医療センター前:0.14μSv/hであった。すべて我々が住む近畿地域と同レベルであり全く問題がなかった。
以下に、女川町視察の際に撮った現場写真を示す。
写真1. 大草芳江氏の講演 写真2. 津波で横転した江島共済会館
写真3. 女川町地域医療センターから見た 写真4. 同センター前に置かれた慰霊の花束
写真5. 女川町地域医療センター玄関の津波高さ表示(1階床より1.95m)
写真6. 女川地区視察での東北本部岩渕善弘氏の説明