ミャンマーが日本の技術に期待すること

著者: 寺川博也、藤井 武  /  講演者: 小川モモウ、砂田純二 /  講演日: 2015年11月16日 /  カテゴリ: 環境研究会 > 講演会  /  更新日時: 2015年12月25日

 

公益社団法人 日本技術士会近畿本部登録 環境研究会 第72回特別講演会要旨

 

日 時 : 20151116() 1830分~2030
場 所 : 大阪市 アーバネックス備後町ビル3階ホール

講演 : ミャンマーが日本の技術に期待すること

講 師 :  小川モモウ  中小機構国際化支援アドバイザー(ミャンマー国出身)
砂田 純二  関西ミャンマー経済交流センター 副理事長

 

環境研究会11月例会は、ミャンマー人で中小機構国際化支援アドバイザーの小川モモウ氏と、ミャンマー人ビジネスマンと多くの友好関係をもつ関西ミャンマー経済交流センターの砂田副理事長をお招きして開催した。

   

講演会では、「ミャンマーが求める環境技術を含む、日本の技術」について講師から提言をいただいた上で、参加者から「ミャンマー側がまだ知らない日本の技術」などのご提案をいただき、相互の意見を交わす形式で行った。

日本は、欧米の先進国が援助を見合わせる中、ミャンマーの軍政時代も政府援助を続けてきた。また、民間ベースでも日本企業は細々ながらパイプをつないできた結果、日本に親近感を持ち、有益な援助を期待するミャンマーの人々は多くいる。ODAにより政府が行う海外支援は規模が大きくなり、手続き審査に手間が掛かるが、現在のミャンマーでは、停電と盗電、ガスなどエネルギー問題、水、交通渋滞、ごみ・産業廃棄物の環境問題など、様々な課題を抱えており、もっと民間ベースで軽便な技術協力が求められている。

ミャンマー人であるモモウ講師からは、次のようなミャンマー側の要望をお聞きした。
「日本の技術力に大いなる関心がある」
「品質管理・ノウハウを教えてもらいたい」
IT関連企業に興味がある」
「人材育成をお願いしたい」
「日本のサービス精神にあこがれがある」
「日本からの投資に期待する」
「日本に出遅れてもらいたくない」

砂田講師からは、父親である元プロサッカー選手、故岩谷俊夫氏(日本サッカー協会殿堂入り)が取り持つ縁でミャンマー財界人との付合いができた経緯、および、ミャンマーにすでに進出をしている日系企業の実情や、環境技術への支援の現状などをお聞きした。ミャンマーの課題に対する提案(シーズ)が求められており、たとえば、次の様な問題点があるとの指摘がなされた。

冷凍車(ヤンゴン以外の郊外)、薬、医療、予防接種(定温倉庫含む)が必要
消防車、救急車、ゴミ回収車が必要
停電と盗電、ガスなどエネルギー問題の解決策
水、交通渋滞、ごみ・産業廃棄物の環境問題などへの対応

 

質疑応答

1.選挙結果を受けて軍閥はどのようになるのか?
・淘汰される軍閥と今までどおりの軍閥の二つに分かれると思われる。

2.電力状況はどうか?
・ヤンゴン市内でもほぼ毎日2回程度の停電はある。
・ただし、ティラワ経済特区は専用の発電所があるので問題ない。
・他の工業団地では停電が起きているようである。

3.ベトナム・バングラデシュと比べてミャンマーはどうか?
・両国に劣らず手先が器用で、まじめな労働力資源と言える。
・識字率は90%以上であり、向上心もある。
・日本語を学ぶ姿勢もあり今後ますます日本との結びつきが増えていくのではないか。
・大学卒業生は英語が堪能で国際社会での活躍が期待できると感じている。

4.感電死する電気技術者がいると聞いているが、技術資格制度などの国の形、社会システムづくりがまず必要だと思うが?

・今後民主化されて法制度の整備が進んでいくことを期待している。

5.個人技術者がミャンマーに進出したい場合どうするのが一番よいか?

・中小機構に相談してもらいたい。技術分野・目的が合えば全面的にバックアップが可能である。
・紹介する相手先もきちんと審査しているので安心して業務ができると思う。

6.学校と学会などを結びつけるような組織・システムはあるのか?
モンゴルでは制度作りに日本が協力した経緯がある。

・商工会議所のような組織はある。
・技術者教育もまだまだこれからというところであり、システムとしてはまだない状況であるので、研修生制度を利用した日本との交流が必要だと思う。

7.廃棄物処理はどのような状況か?

・ゴミの収集は行われてはいるが最終処分場がないため川へ廃棄している地域もあり、川が汚染されている。

・東京都を手本に、今後インフラ整備と共に進めて行かなければならない課題と考えている。

8.天然ガスなどが中国へ流出していると聞くが?

・水力発電所の8割の電気が中国へ流れているとか、天然ガスパイプラインが中国へ、つながっているというのは事実で、今後民主化の中で是正されていく課題であると思う。

以上

文責(寺川博也・藤井 武)