“阪大西嶋研究室2015年福島復興支援ツアー”に参加して
公益社団法人日本技術士会近畿本部(登録) 環境研究会・衛生工学部会共催 講演会の要旨
日時;2016年1月22日(金)18時30分~20時30分
場所;大阪市 アーバネックス備後町ビル3階ホール
“阪大西嶋研究室2015年福島復興支援ツアー”に参加して
はじめに
平成27年6月大阪大学西嶋研究室の福島復興支援ツアー(に参加された衛生工学部会の3名の方に、福島の汚染・徐染の現状について発表していただきました。
講演1: 福島市近傍 放射能汚染土壌貯蔵実態報告
講演者:掛田健二技術士 (衛生工学部門)
講演内容:
仙台空港に集合。バスで福島第1原発事故の帰宅困難地区・避難指示解除準備地区を車窓から見学。双葉郡富岡町・楢葉町の津波被災地を見学。翌日、セミナー参加後、南相馬市の除染作業を見学。
海水をかぶった水田は土壌の入れ替えが進行中。南相馬市南部から空間線量が増加(4μSv/h)、大熊町では7μSv/hだった。国道は全線通行できるが、駐停車は原則禁止。側道は立ち入り禁止。JR富岡駅は大型の汚染土壌仮保管場所となっており、3km四方に砂利で整地した上にブルーシートを敷き、黒フレコン3段積みで、100m×500m単位で積み上げられていた。空間線量0.2μSv/hだった。四倉港の改修・整備、道の駅四倉、公共設備四倉は整備されていた。廃水処理は雨水処理が主で、薬品による凝集沈殿、ゼオライト吸着、PH調整、放流。汚泥はフィルタープレスで脱水。
図1 訪問地の略図
講演2: 福島の徐染作業を見学して
講演者: 深田晃二(衛生工学部門)
講演内容:
阪大西嶋先生の「磁気分離法」は、自然界中でセシウム(Cs)を強く吸着する物質中にCsを濃縮し、磁気分離を行って、汚染土壌を減容化する技術である。
図2 磁気分離法(西嶋茂宏:2013.11.23報告レジメより)
除染の原理は、
①Csを含む物質を取り除いて集め
②再飛散・流出しないように密閉し
③土などで十分に遮蔽するか、必要な離隔距離をとり
④安全な状態で管理すること。
住宅の除染は洗浄水で洗い流し、排水を回収する。農地などの除染は、表層の土壌を剥ぎ取った後、客土(非汚染土壌を入れる)。フレコンパックに詰めこまれた土壌や草木は仮置き場に移送して保管。
土壌の表面に付着していた放射性Csを耕運機でかき混ぜると空間線量低減効果がある。森林の除染は落ち葉や種を除く。
福島県面積(1.4万km2)の内、森林面積(1万km2)は71%。但し、除染は生活圏森林(0.004万km2)は0.4%のみ。つまり、林縁部から森林側に20mまでとしている。
講演3:「除染土壌・処理と放射能に係る基礎知識」
講演者: 鍵谷 司(建設、衛生工学、環境部門)
講演内容:
被ばく防護三原則
①正当化:利益が無ければ被爆しない。
②最適化:できる限り低い。
③個人線量限度:公衆1mSv/年、職業人5mSv/年。
除染に関する基本事項は放射性物質汚染対処特措法に記載されている。つまり、事故に伴う追加被ばく線量は1mSv/年以下とする。
①5mSv/年以上の地域の除染は国が行う。
②1~5mSv/年の地域は自治体が行う。
③8,000Bq/kg以上の廃棄物は国が処分する。
(8,000Bq/kg以下は管理埋立処分場で埋め立て処分)福島県内の除染量は1,600~2,200万m3である。
図3 仮置きの模式図(環境省HP・除染情報プラザ)
図4 仮置きの現状
避難指示区域の現状(2015年9月現在)
①帰宅困難区域:50mSv/年以上(9,000世帯)。
②居住制限区域:20~50mSv/年(8,300世帯)。
③避難指示解除準備区域:20mSv/年以下(8,000世帯)。
中間貯蔵施設&最終処分施設建設予定
①フクシマエコテッククリーンセンター
富岡町内の既存管理型処分場と中間貯蔵施設を国有化し、再整備して稼働(残容量70万m3)。
②中間貯蔵施設建設容認(H26年9月福島県、H26年12月大熊町、H27年1月双葉町)。
最終処分施設は30年内に県外に建設としている。しかし、建設の目途は立っていない。
(文責 末利銕意、監修 掛田健二、深田晃二、鍵谷司)