環境実験教室デモンストレーション

著者: 鈴木 秀男、西島 信一  /  講演者: 上口 浩幸 /  講演日: 2020年8月8日 /  カテゴリ: 環境研究会 > 講演会  /  更新日時: 2020年09月03日

 

環境研究会・会員講演会(WEB方式)

日 時:202088日  13:4015:30
場 所:Zoomによるオンラインセミナー 参加者:44

演題:環境実験教室デモンストレーション

講師;上口浩幸氏 特定非営利活動法人 大阪環境カウンセラー協会
   現職:大阪市環境局 東部環境保全監視グループ
   技術士(衛星工学部門・上下水道部門)
   環境カウンセラー(事業者部門・市民部門)

1.はじめに(特定非営利活動法人 大阪カウンセラー協会の環境教育活動部門について)

私たちは、市民活動や事業活動の中での環境保全に関する取組について豊富な実績や経験を有し、環境保全に取り組む市民団体や事業者等に対してきめ細かな助言を行うことのできる人材として環境省に登録されています。環境保全活動の一例として「環境出前授業いろいろ:小学校出前授業、夏休み宿題支援、高齢者・障害者環境教室」「地域ESDEducation for Sustainable Development)活動推進拠点」などがあります。

持続可能な社会の構築に向けた概念を取り入れ、問題解決に必要な能力・態度を身に付けるための工夫を継続していくことが求められており、そのお手伝いをしています。環境問題については連日報道されており、なんとなく知識がある方がほとんどですが、実際日常生活で気にしていない方が多数を占めているのが現状であり、気づきを促し実際の行動に反映させるための体験型学習を行っています。

本報告では、大阪環境カウンセラー協会(OECA)の環境教育活動部門の実施している「環境実験教室」について紹介します。令和元年度 地球温暖化防止活動環境大臣表彰環境活動部門を受けました。また令和元年度に地域ESD活動拠点として登録し、ESD実践を補完する専門性を提供する事としました。今回日本技術士会 近畿本部登録 環境研究会で報告させていただく事を通じて技術士の方々と手を合わせて 環境教育を実践していきたいと考えています。

2.水質実験室

水質実験室として、酸性雨、水道資源としての琵琶湖、大阪府域で河川汚染の原因などの紹介をしています。これらについて、解答はみんなでディスカッションをやったあとで発表するということにしており、自ら学ぼうとする姿勢を引き出し、最後に振り返りをする、教えてあげるという上から目からではなく、共に学ぶという姿勢で行っています。

3.地球温暖化実験教室

IPCCリポートコミュニケーターガイドブックの資料を活用して地球温暖化について説明しています。以前は再生可能エネルギーといってもあまり知られていませんでしたが、現在は風力や太陽光発電などは皆さん良く知っています。よくある質問として家電製品の★の数と電気代との関係、LEDと一般電球・蛍光灯器具との比較などを紹介しています。

4.商業施設で環境イベント

高レベル放射性廃棄物の発生量と処分方法が検討されていることを紹介しています。日本でのこれまで経緯と今後処分方法についてどうするか諸外国の状況と合わせて説明しています。この時に高レベル放射性廃棄物を閉じ込めるベントナイト実験が人気です。

5.まとめ

①気づきを促す取り組み方は一つではありません。②自分で考え、行動する市民が増えることが大切です。③共に考えながら手を差しのべる気持ちで ④ほんの少しの事がキッカケとなり、日常生活に反映させる。

最後になりますが、私も含めてボランティアの方が多い。私はそれではだめだと思っています。ビジネスとして成立していません。若い人は会社を辞めて環境教育をビジネスとしてやっていきたいと思っている人がいます。このままでは仕事としては自分や自分の子どもを養って行けない状況です。できるだけビジネスとして成立できるように取り組んでいき、幅広い専門分野の方と一緒に進めていけたらと思っています。

6.質疑応答

Q:酸性雨は化石燃料に由来でしょうか?

A:NOxSOxという意味ではそうですが、大阪市内ではSOxはほとんど出ません。NOxが多いですが、光化学スモッグも年2回程度になっています。日本だけでなく、中国などの大気汚染などが影響していると思われます。

Q:河川からの水質汚染についてお聞きしたい。総量排水規制について、大阪府としてどのようにお考えでしょうか。

A:行政の視点から見る前提での質問ですが、立場上個人としての意見は控えさせて下さい。

Q:現在CODが下がらない、NPは下がって水産業に被害が出るようになってきている。どういうバランスが必要でしょうか。

A:事業者だけでは解決できないと考えています。大気に排出されたものは雨で河川に流れ、CODがらみになっています。

Q:環境教育(ESD)について年間で学校教育、カリキュラム、教育システムなど中間的にサポートする必要があるのではないでしょうか。

A:全国交流会で、大阪府下で自治体との連携は少ない。トップがどのように考えるかで異なってくる。熱心な先生がおられるが、年間スケジュールはビジネスモデル的には難しい。

Q:5年くらい前からヤシ殻、パーム油が発電に使われているが、どうお考えでしょうか。

A:わざわざ日本に持ち込むのは好ましくない。地産地消という意味で(廃棄物の処理施設がある)舞洲に発電所を作る方が良い。

  私は、理科実験の志として、子どもたちが一生懸命話を聞いてくれるので、甲斐があったと思っている。OECAの中でも理科実験をやっておられます。
理科の好きな人が増えていくとやった甲斐があったと思います。

(文責: 鈴木 秀男/西島 信一 監修:上口浩幸)