世界の持続可能な開発目標SDGs
環境研究会・総会後の会員講演
日 時:令和3年6月4日(金) 19:00~20:30
場 所:Zoomによるオンライン講演会
講演2 世界の持続可能な開発目標SDGs
~2030年に向けた機械メーカーの挑戦~
講師 坪田博隆 技術士(機械部門)
講師の坪田氏は、クボタ鉄工株式会社(現
株式会社クボタ)に1979年入社以来40年間製造生産技術に携わってきた。現在は株式会社山善に専任技術者として勤務。
SDGsは、国連加盟193ケ国が2016~2030年の15年間で達成するための開発目標である。17の大きな目標と、具体的な169のターゲットで構成されている。日本国も政府主導で参加している。貧困、飢餓、健康・教育、エネルギー、働き甲斐、経済成長、まちづくりの話まで目標に含まれている。気候変動、海・陸など世界全体の包括的な話になっている。
クボタは創業130年の企業である。売上高2兆円のうち農機・エンジンが66%で、建設機械、パイプ、環境装置とつづく。日本国内が33%、北米35%、欧州12%、アジア17%の比率となっている。クボタグループは食料、水、環境の分野でSDGs達成に貢献をするとしている。GMB2030(グローバル・メジャー・ブランド)という10年先を見据えた成長ビジョン達成に向けて取り組んでいる。GMBは、社会における企業の信頼、社会貢献を最大化させる目標で、SDGsをベースにして活動している。
2030年には世界人口は、73億人から85億人に増加すると予測されている。この人口問題にクボタはどのように対処するか。飼料を含む食糧増産に対して、畑作用大型農業機械の導入によって、より一層の生産向上を目指す。アジアにおける都市化と農民の人手不足に対しては、インフラ整備と稲作用農機導入で、課題解決に取り組んでいる。上下水道、小型建機、産業用エンジンなどクボタの機械が活躍している。大阪の道頓堀の水環境の改善にも新技術(膜分離活性汚泥法)を用いて取り組んでいる。
アフリカ農業の機械化に向けた取り組みも行っている。アフリカではまだ農業の機械化が進んでおらず、蓄力、人力に代わる農機の段階的普及を進めていくことで食料の増産に貢献していく。これにより農家の所得が向上し、貧困が解消し、子供や女性の労働からの解放、職業選択の自由が達成される。これらもSDGs達成目標の一つである。
日本の農業が抱える高齢化、離農による農地集約化が進み生産性の向上の必要が増えるなど多様な課題に対しても、解決に向けて貢献する。ロボット、IoT、ICTを活用したスマート農業、コメの海外輸出、コメを材料にした新たな製品の開発を支援している。
講演後の質疑としては、海外展開における機械のメンテナンスの問題、乾燥地の緑化、収穫後のポストハーベストの問題などが出された。
坪田博隆講師
(文責:寺川 博也/藤井
武 監修:坪田 博隆)