関西万博協賛内容の紹介(トッパンの多言語ビジネス
近畿本部 化学部会・繊維部会・農林水産部会・環境研究会 四組織合同講演会
メインテーマ:【万博関連:イノベーションと循環型農業の構築】
講演2 関西万博協賛内容の紹介(トッパンの多言語ビジネス)
日 時: 2023年7月15日(土) 13:30~16:30
場 所: おおきに会議室 ZoomによるWeb併用
講 師: 安西 健 氏 凸版印刷株式会社 情報コミュニケーション事業本部
1.音声翻訳における凸版印刷㈱の取り組み
凸版印刷株式会社(以下、トッパン)は2025年に開催される大阪・関西万博の「未来社会ショーケース事業出展」の一つである「自動翻訳システム」に協賛している。本講演では、トッパンの多言語ビジネスの概要と、万博協賛内容について紹介する。
音声翻訳は、「音声認識」「機械翻訳」「音声合成」の3つの手順にて行われる。機械翻訳には、1文ごとに翻訳する「逐次翻訳」(会話時間≒発話時間の2倍)と、文章内の短い単位ごとに翻訳していく「同時通訳」(会話時間≒発話時間)とがある。
逐次翻訳に関しては、国立研究開発法人情報通信研究機構(以下、NICTNICT)が主導して2014年に開始した総務省の産学官連携にトッパンも参画し、NICT の多言語音声翻訳技術を社会実装する取組みを進めた。その結果、2018年に音声翻訳サービス「VoiceB iziz(ボイスビズ)」を商用化した。さらに、2020年より総務省の「グローバルコミュニケーション計画2025」に参画し、大阪・関西万博に向けた同時通訳システムの社会実装を推進している。
2.トッパンの多言語ビジネス
1)多言語音声翻訳サービス VoiceBizVoiceBiz(ボイスビズ)
コミュニケーションを音声で円滑に支援するための自動翻訳サービスとして商用化したVoiceBizは、12言語の音声翻訳、及び、30言語のテキスト翻訳に対応している。また、NICTの研究開発成果を応用した結果、より自然で高精度な自動翻訳を実現した。
さらに、自治体・学校・医療・観光などの分野でよく使う用語・フレーズを標準搭載して、既存の製品に比べてより正確な翻訳が可能である。それ以外の分野でも、固有名詞や定型文を登録するカスタマイズも行える。また、行政・金融・医療など、誤訳が許されないシーンで利用できる「テレビ電話通訳システム」も備え、必要に応じて通訳オペレーターに繋ぐことができる。
2)遠隔多人数翻訳サービス RemoteVoiceRemoteVoice(リモートボイス)
本サービスは、遠隔・多人数・多言語でのコミュニケーションを実現するシステムである。すなわち、一度に多言語への自動翻訳を行うことによって、多くの離れた外国人の相手ともそれぞれの言語で会話することが可能である。自動翻訳はクラウドサーバで行われるため、専用アプリや専用端末は不要であり、WEB ブラウザ経由で利用することができる。
3)VoiceBiz
UCDisplay
駅や施設の窓口で、翻訳結果を透明ディスプレイに表示することで、相手の顔を見ながらより自然な会話を実現するシステムである。文字で表示されるため、事務手続きなど正確性が求められる場面に適している。
3.大阪・関西万博 トッパン協賛内容
・VoiceBizVoiceBiz:来場者同士、もしくは来場者とスタッフとの1対1コミュニケーション
・RemoteVoiceRemoteVoice:ツアーガイドに自動翻訳システムを活用(1対NN)
・セミナー・国際会議における自動同時通訳(1対N 、片方向)
・大阪・関西万博用語集:12 言語に対応した、万博に関する翻訳用語集
Q&A
Q.汎用音声翻訳サービスがあるが、将来乱立していくか?
A.汎用音声翻訳サービスに比べ、弊社の有料サービスは、個別に特化した用語を使う業種でも用語登録や定型文により正確な翻訳が可能であり、セキュリティやデータ管理の技術面で差別化しており、今後も、利用分野毎に特化していくと考える。
(文責:中田将裕 監修: 安西 健)