生物工学と化学をつなぐ技術の解説とその応用
近畿本部 化学部会12月講演会
講演2 生物工学と化学をつなぐ技術の解説とその応用
日 時: 2024年12月14 日(土) 13:30~17:00
場 所: 近畿本部会議室 TeamsによるWeb併用
講 師: 河野 猛 技術士(生物工学、総合技術監理部門)
独立行政法人 中小企業基盤整備機構 神戸医療機器開発センター
化学産業も脱炭素の潮流からバイオ転換を志向する動きにあり、その市場環境
と技術解説、応用分野についてご講演を頂いた。
河野 猛氏
1.バイオテクノロジーの基礎的な操作
①遺伝子操作:遺伝子の導入、削除、複製等の操作する技術として
PCR(Polymerase
Chain Reaction)法や、CRISPR/Cas9法の解説
②細胞操作:細胞培養法と細胞融合法の解説
③代謝操作:生体中の代謝経路を改変・最適化させることの解説
生成物の生産性向上、生産コスト削減、環境負荷の低減に反映
2.合成生物学とケミカルバイオロジー
合成生物学とは、新たな生命現象を人工的に作り出すことを目的とする学問分野であり、ケミカルバイオロジーとは化学的手法を用いた生物学的プロセスの制御を目的としている。合成生物学を効率よく進めるためにDBTLサイクル(Design設計、Build構築、Test評価、Learn学習)が推奨され、創薬、バイオものづくり、バイオエネルギー、環境浄化、作物育種の現場で活用されている技術であるとのご説明を頂いた。
3.バイオ医薬品(抗体医薬品、核酸医薬品)
医薬品生産高の40%を占める抗体医薬品や、第3の創薬モダリティー(本性)と言われる核酸医薬品についての解説があり、ジェネリック医薬品としてのバイオシミラー(バイオ後発品)製品については、その品質管理、同等性検証の課題についても解説をして頂いた。
4.バイオ新素材(バイオものづくり)
バイオマス、二酸化炭素を原料とした水素酸化細菌による化成品原料の生産例を解説して頂いた。新世代ポリ乳酸LAHBや藻類によるバイオ燃料等に注目が集まっており、近年の脱炭素に対する社会課題解決にも貢献できる技術であるとご説明を頂いた。
5.バイオレメディエーション(環境浄化)
微生物による、土壌や地下水の汚染を修復(remediate)する技術について。環境下で特定の微生物を活性化する(優占化させる)ため、一時的に自然生態系が攪乱される可能性があり、生態系やヒトに対する影響を評価しながら実施する必要があるとのご説明を頂いた。
6.デジタルバイオロジー(バイオDX)
生体高分子の分子シミュレーションとして、2024年ノーベル化学賞受賞のAlphafold2(タンパク質立体構造と機能を推定するAIプログラム)は、未だ課題はあるが、ケミカルシュミレーションと組み合わされば、新薬開発のスピードアップが期待されるとのご説明を頂いた。
7.国内バイオメディカルクラスターおよび神戸医療産業都市の紹介
8.質疑
Q1. バイオものづくりの安定性は?
A1. スマートセルの設計次第であり、産業化を進めるためにはより効率的な細胞育種が必要。
Q2. バイオシミラーにおける品質確保、同等性検証は大丈夫か?
A2. 薬効成分が生体高分子であるため先発薬との同等性検証は重要で慎重にすべきである
医療経済効果からバイオシミラーの提供は重要であり、当局も企業の品質管理手法には注視している。
(文責:高岡 直樹 監修:河野 猛)

