環境雑感(1)

著者: 内藤 正巳  /  講演者: カテゴリ: 環境技術  /  更新日時: 2008年11月04日

              21世紀を迎え環境問題は全地球的に重大な課題になってきており、人間の活動の影響が地球の許容できる限界を超えつつあることが明確になってきた。特に地球温暖化の影響は南極や氷河の氷の溶解を進め、更にはロシアなどの永久凍土が溶けることによるメタンガスの大量放出で温暖化が急加速することも考えられる。その影響は海抜の低い国のみならず、植生の適応力を超えるため世界的食糧危機にも直結する非常事態が近づいていると言わざるを得ない。

一方では、人間が作り出した化学物質による生命への影響が解明されつつある。従来の慢性毒性や急性毒性への研究では判らなかった超微量物質が生命発生のある瞬間に作用し、後の固体特に生殖能力に関連した影響を大きく残すという、証明の非常に困難な問題が、多くの現実に起きている自然界での現象から示唆されている。

また、天然資源の枯渇が言われて久しいが、私は天然資源に値段がなく無料であるところにその原因の根源があると考えている。例えば石油を例にとってみると、採掘の費用や運搬の費用それに産油国と消費国の駆け引きで石油の値段が決まっており、もともとの石油そのものの値段は無料である。若干の例外として、日本の植林事業は何世代にもわたって苗木を植え育てて伐採し木材を得ておりこの場合は資源を再生する費用が含まれているといえ、日本の森林資源は世界でも類をみないほど豊富である。それを、無料の南洋材が安価であるという理由で大量に輸入している現在はただ南洋の砂漠化を推進していることにしかならず、逆に費用のかかる日本の森林は荒れ放題になってきている。

こうした我々の日常の活動が地球規模の大きな影響を与えていることが明らかになってきた現在、企業の環境への配慮が非常に重要であり、環境への取り組み状況が企業の存続に大きく影響する時代になってきた。大企業では環境報告書や環境会計の公表など自社の環境への取り組みを積極的にアピールしているが、昨今の厳しい経済環境の中、中小の事業体では取り組みのきっかけすら掴めていないところも多い。

環境省が提唱しているエコアクション21のしくみは、中小規模の組織が環境への取り組みを進めるにあたり、目標を設定し、行動し、結果を取りまとめ、評価し、公表するツールとして、大変うまく作られており、このしくみの普及が今後環境負荷低減の大きな成果を生むことを期待したい。

 

(一番最後の段落以外は2001年環境カウンセラー申請時レポートより抜粋)


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