環境アセスメントについて (報告会)

著者: 寺川 博也 講演者: 坂本 重次、石塚 幹剛、森 和義、  寺川 博也、山本 泰三  /  講演日: 2010年11月11日 /  カテゴリ: 講演会  /  更新日時: 2012年08月18日

 

【環境研究会報告会】   101111

日 時:平成221111日(木)

   

講演テーマ 環境アセスメントについて(報告)

坂本重次技術士(環境)
石塚幹剛技術士(建設)
森和義技術士(電気電子、経営、総合技術監理)の代行で寺川博也技術士(建設)
山本泰三技術士(環境、総合技術監理)

テーマは現在、環境研究会が近畿支部を通じて受託している、大阪府立工業高等専門学校の環境アセスメントに関わる授業の講義を担当した技術士の内4名からの報告であった。授業は同高専の総合工学システム学科、環境都市システムコースの建築土木系5年生、2009年~後期の授業の1単位分で、本年は6名が分担する。

まず、坂本重次技術士からは、この受託している講義全般の概略が紹介された。講義の趣旨は、学生達に対し、実際に実務経験を持つ技術士から環境アセスメント全般の知識および経験談を通じて学んでもらい、これをきっかけに学生達に環境アセスメントを考えるきっかけにしてもらいたいというものである。引き続き、坂本技術士が講義された内容の紹介があった。テーマは環境アセスメントの歴史から現在の地球温暖化対策の問題まで、環境アセスメントの全体像を示すもので、発電所の事例が紹介された。

    

続いて、石塚幹剛技術士により自身の経験から、環境アセスメントの問題点をテーマに講義内容が紹介された。これまでの環境アセスメントは、事業を進めることが前提にあり、環境アセスメントはその事業を肯定するための根拠づくりという意味合いが強かった。しかし、最近では戦略的環境アセスメント(SEA)といわれる考え方に向かっている。SEAとは、計画熟度が高まった事業の実施段階で実施される通常の環境アセスメント(いわゆる「事業アセス」)よりも、事業の構想段階から行なわれるもので、環境配慮の視点から柔軟な対応がなされやすいと期待されている。

    

次に、具体事例として現在海外出張中の森和義技術士に代わって寺川博也技術士(建設)から、海外の環境アセスメントのやり方について紹介された。現在、日本が行なっているODA(政府開発援助)の事業ではJICA(国際協力機構)による「環境社会配慮ガイドライン」を元に環境アセスメントが行なわれている。このガイドラインでは自然環境だけでなく、住民の立ち退きや原住民族への生活への影響など、社会的な環境のアセスメントについても明文化されていることに特徴がある。

  

最後に、山本泰三技術士から、民間企業が地域冷暖房や電力卸供給事業などを行なう際の環境アセスメントの手順や課題について紹介された。民間企業が行なう環境アセスメントであっても、それが行政の地域特性を元に政策にまで深く影響を受ける。事例として神戸市のハーバーランドの地域冷暖房、りんくうタウンのエネルギーセンターの例、大阪市内での15万kWの発電事業などが紹介された。民間企業の事業は、住民合意を前提にスピードが要求されること、幅広い見方が必要であることなどその特徴が紹介された。

  

4名の技術士からの報告を終えて、質疑応答が行なわれた。参加者からかなり専門的な質問も出され、環境アセスメントに対する意識の高さが感じられた。 

      環境研究会では引き続き、外部の講師をお招きして12月に勉強会を開催する。 

                              (図は講演資料から転載)

作成  寺川 博也


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