建築の耐震性を考える
講演会(2006年4月)報告
日 時:2006年4月14日(金) 18:30~21:00
場 所:大阪科学技術センタービル601号室
講 師:大下 俊之 技術士(建設・総技部門)
建築の耐震性を考える
講師は、大手建設会社で、研究開発、研究企画・管理に従事された。阪神大震災では対策本部で対応にあたられた。この間米国社勤務も経験された。
建築分野では、構造設計部門はデザイン部門の下請けとして存在しており、建築主からの建築コスト削減の圧力がかけられやすい立場にある。また、構造計算の流れの中で、公認ソフトがブラックボックス化されていたため、偽装が見抜けなかった。偽装することで素材コストは下がるが、マンション等の売価に対する素材コストの割合は小さく、リスク対効用を考えると割に合わない話と考えざるを得ない。検査機関の能力にも限界があったと思われる。
歴史的にみると、建築基準は、大きな震災後に新耐震基準が設定されてきている。現在は、建物が崩壊しても人命が損なわれないような基準になっている。仕様設計から性能設計への流れがあり、性能規定、重要度係数等について説明された。
講演後、Q&Aを兼ねた懇談会が行われ、構造計算ソフト、建築現場での感覚、倫理面の課題等について活発に議論された。