東北研修旅行の思い出

著者: 奥村 勝 講演者:  /  カテゴリ: 東北地区  /  更新日時: 2012年04月28日

  

環境研究会 東北研修旅行 参加者報告

日 時:平成2432022
場 所:宮城県、岩手県

東北研修旅行の思い出

奥村 勝  技術士(環境部門)

 

東日本震災後、現地の状況や対策がどのような姿になっているか知りたくて研修旅行に参加した。参加者は25名で伊丹空港から85分発ANAの飛行機で、仙台に向かう。内陸部を飛行し、晴天に恵まれ御嶽山、諏訪湖、北アルプスなどがよく見えた。
仙台空港からバスで仙台市内に入った。株式会社復建技術コンサルタントの会議室で大草さんの講演、女川原発の被災状況と対策の講演を聞いた。福島第一原発と安全に対する考え方や対策の違いが容易に理解できた。

午後は、市内巡回し、石巻と女川地区に分かれて巡察、女川地区に参加した。女川は、人口8400人の町で死亡・行方不明830人(9.4%)と被災で亡くなった方の割合が最も多く、現地の防災センターの倒壊跡は何とも痛ましい姿であった。また30m高台にある野球場を活用した仮設住宅も見ることができた。女川地区の悲惨な状況で心が痛みながら、帰路につく。石巻斑と合流して宿泊先の松島ブリーズベイシーサイドホテルに到着した。夕食は吉川東北本部長を交えての懇親会があった。おいしい食事と一ノ蔵、浦霞など有名な酒をたっぷり頂いた。

21日は、多賀城市に行く。8世紀、奈良時代に国府として開かれた多賀城跡を散策したあと、多賀城市役所で被災映像と多賀城の復興計画の説明があった。被災映像はすさまじく、当時のテレビ放送で見たよりも、激しく生々しい津波の様子が映し出されていた。被災後、ボランティア活動状況など自衛隊や他県からの支援は大変助かったとの説明がありほっとした。

午後は角田にある宇宙科学研究所で国産H2等ロケットエンジンを見学、屋外に展示してある第一段ロケットエンジンLE7、第二段ロケットエンジンLE5の前で説明を聞いた。LE7は推進力300万馬力、重量1.7トン、LE5は、推進力40万馬力、重量250kg。開発関係者の情熱と日々の努力の賜物と思う。その後、燃焼実験映像と燃焼施設現場をみて見学を終えた。さらに近くにある公園で高さ49mH2ロケット実物大の模型をみて、日本の宇宙開発技術が着実にレベルアップしていると思った。そのあと仙台空港に行き、第一陣で帰路につく人と別れた。

もう一日居残り翌日を一緒に行動することとなった山本、山家、渡邉さんと4人でレンタカーを借り市内のホテルに向う途中、前の会社の同僚と待ち合わせていた仙台駅で降りて、市内のいろは横丁で一献かたむけ旧交を温めた。

22日は車で平泉中尊寺に行くことになった。事故により高速道路は閉鎖されていたため、一般道で北上。途中で閉鎖解除の情報を得て高速道路に乗り換えた。昨年世界文化遺産指定を受け、一度見たいと思っていたので、願いがかなった。中尊寺は、ご本尊阿弥陀如来を本堂に構え、また金色堂は金箔で覆われたすばらしい建築物で松尾芭蕉の「五月雨の降りのこしてや光堂」とうたわれた場所である。金色堂は覆堂内に設置された透明ケースで二重に保護されていた。平安時代後期の12世紀、藤原三代の栄華を誇る中尊寺の境内は広く、歴史の一端を感じることができた。

中尊寺見学後、近くにある世界文化遺産の毛越寺(もうつうじ)に行く。慈覚大師が850年に建立した寺で臨池伽藍跡と浄土庭園で有名である。造園が専門の渡邉技術士の解説を聞きながら境内に入ると、浄土を思わせる大きな池をもつ庭園がある。池の周辺を散策すると、海岸の砂洲を表した州浜、荒磯の風情が見られる出島や池中立石など岩手の山にある海辺を連想する庭園であった。毛越寺をあとにして仙台空港に向う。空港到着後、旅行の無事を祝してビールで乾杯した。

今回、震災1年後の現地を訪れ、津波による被災状況や対策の内容を確認することができ参考になりました。研修を企画・準備された方、研修旅行中現地で懇切に対応してくださった方に大変お世話になり感謝いたします。

 


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