大阪夢洲での1000万kWのLNG火力発電所の建設計画
著者: 環境研究会 講演者: / カテゴリ: 発電プロジェクト / 更新日時: 2013年04月07日
平成25年4月5日
大阪夢洲での1000万kWのLNG火力発電所の建設計画
公益社団法人日本技術士会近畿本部環境研究会
発電の計画推進委員会委員長 鈴木 胖
発電プロジェクトリーダー 石丸 公生
2011年3月11日の福島第一原発事故を受けて、国では「脱原発依存」「再生可能エネルギーの拡大」に向けて方向付けされました。
関西地域での電力供給につきましては、原子力依存率が50%と高く、厳しい状況にあります。このため、
①旧式の石油火力の更新(約500万kW)
②原発依存率低下のための代替(約500万kW)
等、LNG火力発電所の計画で必要な環境アセスメントのために、総量で1000万kW規模の建設検討を進めています。
とくに産業用用途にあっては、低廉で安定供給が可能な電力の確保が喫緊の課題です。そこで関西での産業用での需用電力量を分析した結果、当面は大規模利用企業を対象に300万kWの発電の具体化、市場開拓等の調査を行います。
検討結果につきましては6月に中間報告書をとりまとめて発表する予定です。
つきましては下記要領で「第2回計画推進委員会」を公開で開催しますので、ご案内申し上げます。
日 時 平成25年4月8日(月) 15:00~17:00
場 所 ”キャンパスポート大阪”ルームE
http://www.consortium-osaka.gr.jp/
大阪駅前第二ビル4階 ※大阪駅、梅田駅より徒歩7分
【資料1】発電の検討組織体系図
【資料2】都市型発電所を実現するために300万kWの市場開拓戦略
【資料3】夢洲発電ドリーム計画 低廉で安定した電力の供給を
【資料1】 発電の検討組織体系
2013.1.29/4.5
第1回委員会:2月8日(金)
第2回委員会:4月8日(月)
【資料2】 都市型発電所を実現するために
★ 固定観念にとらわれず柔軟に発想し実現に向けて検討
地産地消の実現、分散型の集中設置
世の中の流れに沿った対応
例.発送電分離・自由化推進の方向。
エネルギー・電力の選択肢を拡げる
全体最適を目指して、システム・プロセス全体で考える。
時間・スピードの重視
1)基本計画
a)立地
LNG基地は泉北7-3区を想定(大阪府の用地)
※
津波が来てもLNGタンクは耐えられる(従来技術で確立)
発電所は夢洲:南海トラフ地震にも耐えられる地盤高さの確保
重要施設の基礎杭での保持
側方流動などへの影響の調査・検証
LNG基地のための港湾の深さ15mの確保。浚渫土砂を夢洲の埋立に使用
※ 大阪府、大阪市の港湾局と調整要
b)発電所の基本仕様(目標の概要)
都市型発電所として分散型の集中設置
・主要設備は建屋内に収める:騒音、低周波振動のリスク軽減
・煙突高さ59m以下:排気ガス中の高度なNOx対策
・蒸気を復水するための冷却は、水冷却塔・空気冷却塔のハイブリッド仕様
・鉄塔のない仕様を目指す:海底ケーブルの敷設。廃止した火力発電所に接続
※ 利用可能な施設の調査・検討が必要
c)市場開拓戦略
産業用、業務用、家庭用の市場規模と特性を踏まえて考える。
→安定供給と競争力のある価格を基本にして優先順位を考える。
図 夏期のピーク発生日(2010年8月19日)における電力需要曲線(推定値) :大阪府資料より
★産業用が第1
①市場が自由化されている。
②顧客の規模が大きく、対象顧客数が少ないので効率的に大量に営業開発できる。
③負荷変動が少なく安定している。
第2に業務用になる。
負荷変動が大きい。とくに夏の昼間のピーク対策として、GTCCは効果的に対応できる。
第3に家庭用である。
2020年までには発送電分離の中で、顧客が電力の選択をできるようになる。原発なしに安定して安価であることは魅力的で競争力がある。
●環境アセスメントなど必要なインフラは最終の1000万kWで検討する。
環境アセスメントは次の4通りを行う。
a)ゼロ(事業をしない場合)
b)10万kW(ガスアンドパワーの酉島発電所の実績がある)
c)100万kW(計画は1ユニットが50万kW×2である)
d)100万kW/ユニット×10ユニットの分散設置
★事業化は産業用を対象にして検討する。
関西電力管内の市場は最大で1100万kWとすると府県別の需要量は図の通り。
本発電所の対象として約30%の顧客獲得をめざすこととする。
→300万kWを当初の対象として建設計画を進める。
都道府県別の電力消費量(単位:万kW ※単純に8760時間/年で計算)は下表の通り。(出典:経済産業研究所統計より)
|
大阪府 |
兵庫県 |
京都府 |
滋賀県 |
奈良県 |
和歌山県 |
産業用 |
235 |
341 |
68 |
107 |
37 |
37 |
全使用量 |
765 |
623 |
219 |
182 |
103 |
89 |
【資料3】 夢洲ドリーム計画 低廉で安定した電力の供給を!
2013年4月5日
計画推進委員会・発電プロジェクト
① 関西には火力発電所が少ない。(下図)
②LNG(液化天然ガス)による火力発電は効率が非常に高い(38%→54%)。
※ガスタービンの温度を高くすることで効率改善が進んできた。
→原発に頼らなくても低廉で安定した電力供給が可能
③大阪湾岸に都市型発電所を
分散型の集中設置で「地産地消」の実現を!
★基本技術は酉島エネルギーセンター(2002年から運転開始している15万kW)で確立(上図)。
→(50万kW×2)の発電工場を10箇所に拡大
①コンパクトに設置し、煙突が低い。
②海水を使わずに蒸気を冷却(復水)
③送電用鉄塔がない(地中ケーブル利用)
大阪夢洲:100万kWの分散型の集中設置(10箇所)を検討
泉北地区:大阪ガスのLNG基地の北側に関西電力のLNG基地。
その北側(大阪府所有地)が候補地
●LNG基地から夢洲までは、天然ガスのパイプラインを海底を通って輸送