作るから売る・発想の転換で収益増を

著者: 綾木 光弘 講演者: 西谷 和夫  /  講演日: 2013年09月06日 /  カテゴリ: 講演会  /  更新日時: 2013年11月21日

 

(公社)日本技術士会近畿本部登録  環境研究会・経営工学部会合同講演会
      
(第60回特別講演会)

日時;201396日(金)    1830分~2030
場所;大阪市 アーバネックス備後町ビル3階ホール

 

講演 作るから売る・発想の転換で収益増を

講演者:西谷和夫氏(西谷経営技術研究所 所長)

はじめに

工場改善には、何のための工場改善なのかということを明確に理解して始めないといけない。
工場改善のテーマとしては、報連相、5S、問題を解決できるための技術者教育、ムダ取りのマネジメント、ISO取得、現場のための品質管理等が存在する。しかしながら、これを突き詰めて何のための改善かということを考えれば、“お客様満足”ということに到達する。
徹底したお客様視点に立ったQCDの達成にある。コストダウンという発想は、あくまでも自社内の論理であり、QCDの中でもお客の関心事はQとDだけでしかない。
 

第1部 製造業のマーケティング技術

1.会社繁栄のステップ

まず、社長の仕事について考えてみたい。社長、部課長、一般社員と区分すると、社長は特に、革新的仕事の比率が高くなければいけない。経営改善の3レベルとは、修復・最適化・革新であり、社長は、革新的仕事の比率を上げて、会社の儲けに集中しなければいけない。会社が儲かれば、経営者、社員、お客、地域、世間がすべて潤うことになる。

会社繁栄のステップとして、売り上げ目標の設定、そのために中心となる商品の決定、ターゲット客の設定、UVP、魅力的なオファーの実施、リスクリバーサル戦略の設定がある。

2.経営の仕組みを作る

集客力、生産力、開発力の3つを充実させる。即ち、会社力を上げ、売り上げ増、収益増を達成する。それが、顧客繁栄につながり、会社の存続が保証される。

3.会社力とは

お客様視点の工場改善の考え方は、改善発想を大きく拡大することになる。お客繁栄を通じて、会社繁栄が達成されるのである。
社長の役割は、とにかく取引先を増やし続ける(1社依存はリスクが大きい)ことであり、特に製造業はマーケティングに関心の薄い会社が多いので、考えを切り替える必要がある。

4.売り上げを伸ばすための手順

会社力の大きな要素を占める売上増を考えてみたい。例えば、半年で売上を2倍にしなければいけないとしたら、どのようにするか考えてみてほしい。売上とは、顧客数、顧客単価、購入回数の積であり、それぞれ3割づつ増やすと、2.2倍になる。この発想が重要である。
お客増はマーケティングの重点課題ではあるが、売上増の手段は「お客増」だけではない。

売り上げ増のため何をやるべきかということに関しては、お客様繁栄のためのマインドセット、お客に成りきったマーケティング戦略、UVP、商品・顧客層・地域等の絞り込み、PDPCが重要である。

お客に成りきったマーケティング戦略とは、他所との違いを強調し、お客のメリットを明確にし、客のリスクを排除することにある。UVPとしては、独自の売りを持ち、No.1のブランド力、サービスを行うことである。お客がメリットを感じてくれる自社の強みを確立し、整理することである。
完全返金制度ともいえるリスクリバーサルを確立することも重要である。また、自社の提供した製品を、お客がどのように使っているかとかをしっかりと理解すること、集客力を上げることも重要である。そのためのWEB利用、HP活用、ブログ・ツイッター・フェイスブック等の利用も重要な要素となり、ブランド力を上げることにもなる。

このようにして、リスクリバーサル活用により、見込み客を一見客までもっていき、特典やアドオン利用により時々客にまでもっていく。さらには、信頼関係構築により固定客にする段階的なマーケティング戦略をデザインすることが重要である。

第2部 リードタイム短縮のマネジメント

5.生産力

指定された品質を、安く・早く作り上げる技術と生産力をさらに向上させるための改善力が重要となる。
すべての工場改善の最終目的は「リードタイム短縮」である。リードタイム短縮の発想として、プロセス分析・SCTやクリティカルパス、ECRSの検討が重要である。

6.企画・開発力

開発力アップのためには、商品の機能分析、機能の目的であるM/DM分析、機能の付加・除去を柔軟に行う、新製品のキャッチフレーズ検討等が必要である。

総括

7.経営の実行(戦略マップ)

ここにあげた戦略マップは、非常に重要なものである。人的能力の視点→業務プロセスの視点→お客・商品の視点→売上・収益の視点とマップを埋めていくことが重要である。

※用語解説

UVP:Unique Value Proposition,顧客へ提供する自社ならではの価値
PDPC:Process Decision Program Chart,過程決定計画図
SCT:Sentence Completion Test,文章完成法テスト
ECRS:Eliminate/Combine/Rearrange/Simplify,排除/結合/交換/簡素化
M/DM分析:
Merit/Demerit分析。商品の「長所」と、その裏返しの「短所(欠点)」の両面から評価する、という意味

 会場風景

文責 綾木光弘、監修 西谷和夫


著者プロフィール 著者
> 
主な経歴
> 
資格
> 
その他
>