ISO14001とEA21、何が問題か?

著者: 山本 泰三  /  講演者: カテゴリ: エコアクション21  /  更新日時: 2008年11月04日

ISOマネジメントシステムとEA21の考察(何が問題か?)

1.マネジメントシステムとは

  マネジメントシステムは企業経営にとって有効なツール(道具)であることから、その普及が期待されてきた。PDCA(プラン、ドゥー、チェック、アクション)をまわして継続的改善を図る仕組みであり、組織の中に根付かせた活動が求められている。しかし、ツールであるからには使いこなして初めて意味を持つ。その普及数を下記に示す。

  例えば、ISO9001は品質を安定させ、不良品を出さない製品・サービスを提供するために重要であり、世界で70万件普及していることからするとまだまだ普及の余地がある。

区分 内容 制定年 普及数 備考
ISO9001 品質マネジメントシステム 1987
(1994)
42000件 世界で約70万件
ISO14001 環境マネジメントシステム 1996 20000 世界で約13万件
エコアクション21
(EA21)
2004
(1996)
2000 国内(環境省作成)全国に
46の地域事務局がある
KESf(Step2) 2001 700 京都ででき、12地域に展開

  環境マネジメントシステムについては、環境問題の重要性から、企業経営の中にこれを取込まないとやっていけないといわれているから、もっと普及してもよいはずである。

2.最近の普及動向

  右図を見ると、ISO9001は2006年上期から急激に普及の伸びが鈍化し、2007年は減少している。

  ISO14001も2007年から増加数は減少傾向である。

  実用的な使いやすいシステムとしてKESfは2001年に制定されたが、EA21と同等レベルのステップ2は、年間200件弱しか伸びていない。

  EA21は年間1000件近く増加しており、2007年下期に増加数が、ISO14001を上回ったが、伸び率はそう高くない。

3.原因はマーケティング力不足では?

  EA21は取得に係わる労力、費用はISO14001に比べて1/2~1/5と少ないが、効果は同等である。
認知度が低い、取組み企業にインセンティブが少ないとの議論もあるが、審査人が審査時にコンサルできること、環境活動レポートの仕組みはPR,コミュニケーションのツールとしても、システムの運用面での改善にも有効である。しかし、第三者認証の仕組みが重く、ISO14001と類似に見えるため、企業にとって必ずしも魅力的なものとはいえない。企業が自主的に取組み、継続的改善が果たせるような、マーケティングが必要であり、EA21審査人HG会としてこれに真剣に取り組みたい。


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