廃棄物投棄が疑われる丘陵の地盤

著者: 深田晃二  /  講演者: 中川要之助 /  講演日: 2018年1月27日 /  カテゴリ: 環境研究会 > 講演会  /  更新日時: 2018年03月31日

 

環境研究会第82回特別講演会・衛生工学部会第20回例会 要旨

日時:平成30127日(土)  13301615
場所:大阪市 アーバネックス備後町ビル3階ホール

講演1:廃棄物投棄が疑われる丘陵の地盤

~けいはんな学研都市エリアを中心に~

講師:中川 要之助 氏(環境計画センタ- 副会長)

東京都の築地市場の豊洲移転では、地下水汚染問題が再検討されているが、全国的に大都市とその周辺地域で高度成長期の負の遺産として建設残土や廃棄物投棄による地盤環境汚染が問題になっている。現在では、廃棄物処理法やリサイクル法に従って適正に処理・処分されているが、法律が制定・整備されていなかった高度経済成長期の1960 1980年代には、建設資材の砕石や土砂を採取した跡地に建設残土や廃棄物による埋戻しや圃場整備と称して谷間の埋立などによる土地造成が各地で行われていた。

このような問題のある採取跡地の崖は地質調査では格好の露頭であり、とりわけ、自然の露頭が少ない第四紀層を研究対象とする講師には貴重な研究の場であった。しかし、採取跡地が建設残土の土砂ガレキだけでなく、産業廃棄物などで埋め戻された土地もある。高度成長期から数十年を経た現在、埋立跡地は更地と見做されており、土地利用されても地盤や地下水汚染や地盤の安定性が懸念される埋立跡地を調査できる機会は少ない。そのため、それらが懸念される土地についても確証がえられないままに公表の機会がなかった。しかし環境汚染や地盤災害のリスクを考え、フェイルセ-フの見地から確証が得られていない土地についても開示することとされた。

けいはんな学研都市エリアを中心に地盤状況をスライドで紹介された。大阪近傍の残土や廃棄物による埋立が疑われている25箇所の土地について地形、地質、旧土地利用、掘削及び埋立目的、埋戻し物(土砂、廃棄物)、土地利用や環境問題についてそれぞれの土地の特徴並びに分布についての紹介である。

今回の講演は、開示した土地の環境問題や地盤の安定性を直ちに評価するものではなく、開示した土地やその近隣、また類似の土地の環境問題や地盤問題が懸念される場合に調査の参考にしていただければ幸いであるとの趣旨で行われたものである。

※第四紀層;170万年前~現代までの人類が出現したり、氷河に覆われた時代の地層のこと。

※参考資料;中川要之助、前田伊端実;京阪奈丘陵における砂利採取跡地の現況とその問題点、第38回同志社大学理工学研究所研究発表会(2000.12)

【コメント】

講演内容は、単なる文献や資料調査ではなく、すべての個所で現場に赴き、周辺状況も確認した実務的な調査結果であった。地下に廃棄物が存在し表層が利用された宅地などは、地盤問題や環境問題が発現する可能性がある。とくに、不法投棄などは、廃棄物の種類、性状等埋立に関する記録が残らないので、安全性の確保が難しいことが強調された。

(深田 晃二:記、 監修: 中川 要之助