家庭での二酸化炭素排出状況

著者: 桂   彰  /  講演者: カテゴリ: 環境技術  /  更新日時: 2008年11月04日

家庭等での二酸化炭素排出状況と削減策事例

 

民生部門(業務その他、家庭)、運輸部門の二酸化炭素排出量は、基準年である1990年と比較して全体として大幅な増加(業務その他44.6%、家庭36.7、運輸18.1%)となっています。逆に見れば、これらの部門に関わる多くの人々が取組を進めることにより、削減効果は非常に大きくなるものと期待できます。このため、特にこれらの部門を中心に、実用段階にある技術の普及による二酸化炭素排出量の削減について見ていくこととします。

 

家庭や業務用ビル等の民生部門からの二酸化炭素の排出の内訳を見たのが、図3-4-3です。この図から、給湯や冷暖房、動力他(冷蔵庫、照明等)などが、二酸化炭素排出の大きな割合を占めていることが分かります。

これらの機器等に係る二酸化炭素排出量の削減は大きな効果を生むので、積極的に排出量を減らすことが重要です。以下では、これらの機器等を中心に、技術の活用による二酸化炭素排出量の削減の可能性について見ていきます。

 

(1)高効率なエアコンディショナー

今日ほとんどの家庭やオフィスなどに普及しているエアコンディショナー(エアコン)は、冷房用のみならず暖房兼用のものも多く普及しています。エアコンは、家庭内における消費電力の大きな部分を占めているので、効率性の向上が特に期待される分野です。高性能のヒートポンプ技術、新たな制御技術など様々な技術の開発・導入により、今日のエアコンの効率は非常に良くなっています。

特に、最近の高性能機種では消費電力1kW当たりの冷暖房能力(kW)(以下「COP」という。)が6を超える製品も出るなどエネルギー効率が従前と比較して非常に高くなっており、旧型のものをこのようなエアコンに置き換えると、大幅に二酸化炭素の排出を削減できます。冷暖房COPの推移を見ると、この10年ほどで急速に効率が上がっています。最新高性能機種に買い換えると使用時の電力料金も大幅に節約できることになります(図3-4-7)。

(2)冷蔵庫

冷蔵庫も、冷却技術、断熱技術、制御技術などに関する様々な技術によって省エネルギー性能が大幅に向上しています。

その結果、この20年の間に、内容積1リットル当たりの消費電力量は3分の1以下になり、この数年だけでも消費電力量は3割以上低下しました。このため、旧式の冷蔵庫を最新の省エネルギー性能の高いものに買い換えた場合、相当な省エネルギー効果があると言えます(図3-4-10)。

(3) 照明の省エネルギー技術

照明は、素材・デバイス技術により大幅な省エネルギー化が進んでいます。

照明用電球については、インバータ式蛍光灯機具、高周波点灯専用形蛍光灯Hfランプ)などに代替されることにより大幅に消費効率が上がっています(図3-4-11)。これらの製品はすぐに点灯する、ちらつかないといった利点も併せ持っています。

他にも各種削減事例がありますが、詳細は下記白書を参照ください。

出典 平成19年度版 環境白書・循環型社会白書より一部抜粋


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