ダム貯水池の水質保全と琵琶湖・淀川水質保全機構の活動

著者: 高橋 健夫 講演者: 久納 誠  /  講演日: 2007年02月19日 /  カテゴリ: 講演会  /  更新日時: 2012年08月17日

 

★環境研究会【第34回特別講演会報告】  070219

日 時:平成19219日 

 

テーマ:ダム貯水池の水質保全と琵琶湖・淀川水質保全機構の活動

講 師:久納 誠氏 財団法人琵琶湖・淀川水質保全機構琵琶湖・淀川水質保全研究所次長、工学博士

●プロフィール:昭和31年生まれ。昭和56年山梨大学大学院修了後、水資源開発公団入社。平成1510月から独立行政法人水資源機構池田総合管理所所長を経て、184月から現職。学術雑誌「環境技術」編集委員。

 

1.ダム貯水池の水質保全

富栄養化対策を大別すると、次の対策に分けられる。

①流域での流入負荷の削減対策
②貯水池に流入する直前の対策
③表層環境を制御する対策
④底泥栄養塩の溶出を防止する対策
⑤藍藻が異常増殖した時の対策

このうち、十数年前から普及しつつある「曝気循環手法」における藍藻の異常増殖防止メカニズムを中心に説明が行われた。

この曝気循環手法とは、③の対策の一つで、ダム貯水池の表層水を曝気により循環させる方法である。その藍藻の異常増殖を防止するメカニズムには、藍藻の暗所拘束、水温勾配の制御、栄養塩の希釈及び珪藻等の藍藻以外の活性化の四つの効果がある。

2.琵琶湖・淀川水質保全機構の活動

財団法人琵琶湖・淀川水質保全機構では、国土交通省近畿地方整備局、滋賀県、独立行政法人水資源機構関西支社と協働して、琵琶湖・淀川水系の水環境改善の促進及び水質浄化技術に関する研究開発を実施することを目的に、平成97月に滋賀県草津市の葉山川河口部右岸前浜に「琵琶湖・淀川水質浄化共同実験センター(Biyoセンター)を建設した。Biyoセンターでは建設から平成17年度までに、富栄養化現象の抑制や水環境保全・外来種抑制に関する実験・調査研究を39件行ってきた。

今後の展開として、次の研究推進が挙げられる。

①琵琶湖の富栄養化現象に対応する研究
②琵琶湖と淀川の水に含まれる健康を脅かす恐れのある有害化学物質等の研究
③琵琶湖と淀川の生態系バランスを考慮した水質への改善技術の研究

●質疑応答

Q:琵琶湖を何年先にどのレベルにもっていく目標があるのか?

⇒過去に歩んできた水質に近いようにしたい。しかし、現実的には過去の状況に戻そうにも当時と生活状況が変わっているので対応は非常に難しい。

Q:共同研究の成果に対する特許権等の考え方は?

⇒特許は共同実験の場合は共同特許としている。

その他、地球環境に優しい観点からの水環境の見直し、狭山池のアオコ対策、瀬田川洗堰のヘドロ、外来種等について多数の質問があり、盛会裡に終了した。

(高橋健夫 記)


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