水の不思議な力とその活用 水の不思議な力とその活用(2)
- 水の不思議な力とその活用(1)
- 水の不思議な力とその活用(2)
- 水の不思議な力とその活用(3)
超臨界水
水には気体・液体・固体の3種類の状態がある。小学校の時、水の沸点は100℃と教わったが、これは1気圧での話であり、例えば富士山の頂上は約0.7気圧のため87~88℃が沸点となる。富士山頂ではいくら炊いても温度が88℃以上にならないので、生炊けとなりおいしく炊けないため、温度(沸点)を上げる目的で圧力釜を利用している。
圧力釜より、もっともっと丈夫な容器に水を入れ、密閉したまま加熱していくと水蒸気は出口が無いためどんどん圧力が上がっていく。容器の中身は高温の水と高圧の水蒸気であるが、374℃・220気圧(22MPa)を越えると、気体でも液体でもない状態に変わる。この条件を臨界点(図-1参照)といい、臨界点を越えた水(超臨界水)は特異な性質を持っている。例えば石油など水に溶けない物質を溶かす能力、色々な物質と反応したり溶かしたりする能力、酸やアルカリを働かせる能力などが、非常に強くなっている。
これらの能力によって鉱山などの資源が作られたのだが、その仕組みは次の通りである。まず水が地殻の変動などによって地中深く潜り込む事がスタートとなる。深い地下で水はマグマにより加熱されて高温になり、しかも高圧のため超臨界水となって、周囲にある物質(資源)と反応して溶かしていく。再上昇して地表に近づいて温度や圧力が下がっていく時に、物質毎に溶解度が異なるため、種類毎に別れて(分離して)析出したものが鉱石である。このような仕組みが長い間続いた場所に鉱山でき、人が利用している。