水の不思議な力とその活用 水の不思議な力とその活用(3)
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亜臨界水
超臨界水の持つ能力は非常に大きいが強すぎて使いづらいため、近年亜臨界水が着目されている。亜臨界水は、普通の水と超臨界水の中間の水と定義されているが、温度帯によって性質が異なっておりそれぞれに応じた活用の可能性を持っている。
200~300℃の亜臨界水の中で、魚のあらや木材屑などを5分間程度加熱すると反応(加水分解)して、アミノ酸、有機酸などの有用な物質に変わることが発見されている。この現象を利用して、下水処理場で発生した余剰汚泥(通常は埋立処分)を亜臨界水で処理した後、メタン発酵させると、処理しないでメタン発酵させた際に必要な時間(数日~1ヶ月)を1日以下に短縮することが可能になることなど、色々な利用方法が提案されており、既に塩素系溶剤の無害化などの用途で実用化されている。
200℃以下の亜臨界水の持つ能力を活用する技術については、まだあまり研究されていないが、緩やかな(加水分解などの反応はして欲しくない)用途での利用に適している。例えば、吸着した物質を再分離させる用途や、乳濁液を水と油に分離させる用途などが提案されており、これからの研究課題である。
亜臨界水を利用する技術は水が媒体であるので、安全で環境に優しい技術であり今後の発展が期待される分野である。