地球環境問題に対する環境関係技術士の役割

著者: 石塚 幹剛 講演者:  /  講演日: 2008年09月29日 /  カテゴリ: 会員の広場  /  更新日時: 2011年03月03日

 

地球環境問題に対する環境関係技術士の役割

石塚 幹剛  技術士(建設)
キーワード  環境、地球環境、温暖化、省エネ、ライフスタイル

 

地球環境問題は、一つの国、一つの地域に限ったものではなく、地球の全ての人間に課せられた複雑な課題である。議長国として、「温室効果ガス排出量を2050年までに半減する共通目標を全ての国に求める合意」(7月北海道洞爺湖サミット)を取付けたことには大きな意義があるが、この目標達成には、90年比2020年中期目標で25-40%の削減、2050年で80-95%の削減が必要(国連の気候変動に関する政府間パネル:IPCC)と試算されている。

我が国においては、国家的な施策としてエコ技術の開発、導入、普及による省エネ対策を早急に実施し、温室効果ガス排出量の削減を精力的に進め、加えて、私たち国民一人一人が正しい知識を身につけ、生活スタイルを具体的に省エネスタイルに変えて行く努力を日常生活で実践的に培うことが必要であり、啓蒙教育の徹底が必要不可欠である。

これからの日本の社会を担う若者達に、温室効果ガス排出量の削減努力をしてもらうよう積極的に機会を作り教育・啓蒙を図ることが、我々世代の環境関係技術士(以下「技術士」という)の大きな役割であると思う。そのために、技術士自らが温室効果ガスの排出量をできる限り抑制し、自然と調和した生活の実現に資する身近なことから実践し、一人でも多くの仲間や若者達に啓蒙・普及していくシステム作りに取組まなくてはならない。

1)正しい知識を身につける仕組み作り

地球環境問題に対処するには、問題を発生させる原因は何か、人間の身体にどのような影響を及ぼすのか、なぜ放置できないのか、どんな対策が必要なのかを正しく理解する必要がある。そのためには、若者や子供達にもエコマークの意義や環境白書の役割、環境改善活動への取り組み、エネルギー転換と人々の暮らしを変えるべき具体的な未来像等を示し、技術士が解説・指導、講演や授業等の機会や場を作り出し、一人でも多くの人に、正しく理解する能力、主体的に考え・判断し・行動に移せる能力を伝授する努力を継続して行かなくてはならない。

一人でも多くの仲間が、その成果を日常生活のスタイルに融合させて、多少の不便さを我慢して地域全体の活動に結びつけ、やがて地球規模の大きさにし、将来の地球環境について真剣に取り組む資質を有する多くの若者や子供達に成長しうるよう支援していくことが求められる。

地球環境問題は、子供達の将来にとって決して避けては通れない課題である。そのことを自覚させ、身の周りの身近なことから取組める知識を習得できるシステム作りに技術士が中心になり産官学一体となって取り組んで行かなくてはならない。

2)出来ることから直ちに実践する先頭に

ゴミをできるだけ出さない、ゴミはきっちり識別する、省エネ・エコ製品を使用する、再利用する、できるだけ自動車は使わない、ネオンサインの消灯・自販機の利用時間抑制・昼型化生活パターンへの移行による節電等エネルギーの節約に努める、等等、個人の力でも出来ることは沢山ある。この小さな努力が、やがて地球規模の環境問題の解決に発展していく道となる。子供達を含めて一人一人が日常生活(ライフスタイル)において実践できるシステム作りを先頭に立って実践・支援する行動が技術士に、今、求められている。環境研究会の活動においても精力的に国民の先頭に立って実践してもらいたい。

以上


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