コンプレッサーの省エネ技術と営業技術

著者: 山本 泰三 講演者: 岩佐 昌哉  /  講演日: 2007年05月29日 /  カテゴリ: 講演会  /  更新日時: 2012年08月17日

 

35回環境研究会特別講演会報告  070529

日 時  平成19529日(火)

 

テーマ コンプレッサーの省エネ技術と営業技術

キーワード  コンプレッサ、省エネ、工場エア、営業技術

講 師   岩佐 昌哉 氏 アイビーシー有限会社 代表取締役

講師プロフィール
徳島県出身、徳島大学工学部(機械系)卒、日産車体等を経てアトラスコプコでコンプレッサーの営業・技術・サービスを担当。その後独立・コンサルを始めて7年目。「工場エアの省エネ(圧縮空気系の省エネ)」に関して、全国規模での講演(参加者:6000名)、省エネ診断を200事業所以上で行う。又、EA21審査実績30件以上。

 

1.心情・信条

こうありたいこと4つ。
①すなおでありたい。
②妥当性から外れたらやらない。
③自分のモノサシを鍛える。
④良いと思うもの以外は人に薦めない。

好きな言葉:
・厳しくなければ生きていけない。しかし、やさしくなければ生きている価値がない。
・意識が行動をつくり、行動が習慣を作り、習慣が人格を作り、人格が運命を決める。

2.ニーズ(必要性)とウォンツ(欲求)

人がモノを買うときの心の動き、決断の動機、そしてそこへの導きの方法は、ニーズを創り、夢を創ること。会社と会社の取引でも、前線はヒトとヒト。不景気だから省エネソリューションとして、エアコンプレッサ(1000万円以上)が売れる。

3.工場エアのQ&A

恐怖のニードストーリー

担当者はこのままでは大変、省エネができていないことに気づき、不安感を持つ。不安が義務感になり、営業マンを頼りにする。バラ色の夢を描かせ、それを現実のものにする。100%担当者が決断できるよう、きちっと計算書を作り、提案できる知識が必要である。トラブルは徹底的に原因追求し、改善する。途中で梯子を外さないこと。今のままで進歩しなかったら5年後は?との不安が人を行動に駆り立てる。最終的には担当者に喜んでもらう提案をし、フォローを徹底すること。

良くある質問

Q:コンプレッサーの歴史は? 火吹き竹、ふいご、そしてエアコンプレッサー

Q:製造工場のユーティリティとは? 血液のようなもの。電気、水、蒸気、空気など。

Q:エアの省エネは進んでいるか? 進んでいない。理由は、知識が少ない。専門家が少ない。資格制度がない。下手すると生産に支障。エア供給側と使用側のコミュニケーション不足(組織の壁)。経営層は製造への関心の方が高い。

Q:償却期間は? 2~5年と短い。省エネできるのに意識が低い。

Q:費用対効果(効果対費用とすべき)を数字で示すこと。効果の算出が難しい。トータルコストで評価すべき。ランニングコストの率が高い。(工場全体の電気代の20%を占める)。

4.コンプレッサーの種類

レシプロ:給油式、オイルフリー(ピストンリング:カーボンからテフロンに)
現在22kW以下しかない。

回転式 :スクリュー式:給油式とオイルフリー
100
μの隙間:オイルフリーは2倍の価格(二段機) 5kW900W
ターボコンプレッサーは150kW~数1000W (オイルフリー)
モータは全閉外扇電動機が基本(ほこりが入らない)

二段圧縮:①0.2MP210℃ →インタークーラーで50℃に冷却
0.7MP210℃ →アフタークーラーで50℃に冷却

空冷式と水冷式 (冷却水システムは水などがいるが安定)
→ドライヤーで10℃まで冷やす。90kW以上は水冷式。

5.工場エアでの省エネ、4大アイテム

1)コンプレッサーの運転制御
①運転制御形態の改善と、②圧力のフレ幅低下

2)圧力の低下
③圧力の低下による動力の低下、④エア消費量も低下も

3)エア消費量の低下
圧損も低下

4)エアの品質
オイル、ダストで、⑤製品品質、⑥生産性の低下、⑦つまりによる圧損 →⑧元圧を上昇

動力=圧力×吐出量 →省エネは 

・全負荷の台数を増やし、不要機を停止することが重要。一元化運転がよい。→電流を測れば空気量変化がわかる。
  ΔP=fQL/P  配管系が重要。

・配管を太くする
25A6本と50A1本が同じ。

・エア漏れは10mmの穴なら6.3m37kWに相当。

 

Q&A

Q:運転の安全性、信頼性は? *トンネル設計の場合を踏まえて 

A:重要な機械に圧力監視をするなど、実際には安全性を高い目に設定しがち。
工場の計画では圧力はあまり考慮されないのが一般的。工場は千差万別

Q:レシプロと回転式の優劣は?

A:現実にレシプロは22kW以下しか使われていない。 45Wは電力会社しかない。
レシプロは負荷特性が良いが、大型の主流は回転式である。

Q:流量測定は?

A:オリフィス流量ほかがあるが、電流測定で抑えるのが現実的。

Q:レシーバータンクは必要か?

A:圧力変動の吸収のため必要。大きさは吐出量の1/

Q:空気の清浄度アップについて?

A:不純物はオイル、水、ダスト。除去には費用がかかる。

 

コメント

技術と営業の係わりについて実践的で説得力のある講演であった。

 (文責:山本泰三)


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