フィルムシート事業、食品包装用機能性プラスチック (住友べークライト株式会社)

著者: 藤橋 雅尚 講演者: 祐安 龍三、高尾 正人、弓削田 泰弘  /  講演日: 2006年06月15日 /  カテゴリ: 見学会  /  更新日時: 2010年12月03日

 

化学部会(20066月度)見学研修会報告

  時 : 2006615日(木)
  所 : 住友ベークライト株式会社 尼崎事業所
テーマ : 見学研修会

 

講演1 尼崎事業所の構成と生産品目の概要について

工場長 祐安 隆三 

樹脂は熱硬化性と熱可塑性に分類されるが熱可塑性樹脂を主力としており、基本理念は「プラスチックを基材として新しい機能を付与する」である。連結売上は2235億円であり、内訳は半導体・表示体関連25%、電子回路関連18%、高機能プラスチック24%、衣料・建材関連32%である。
尼崎事業所(従業員約600名)は、工場部門・研究部門・営業部門で構成している。工場部門は樹脂を購入して特殊加工し、食品・医薬・電機向けのフィルムやシートを生産しているが、詳細は高尾、弓削田がご説明申し上げる。

 

講演2 フィルム・シート事業について

可塑性樹脂製品研究所所長 高尾 正人

  基本技術は、配合→混練→共押出→カレンダー→ラミ・コーティングであるが、それを支えるのが金型や成型に関する技術である。主力製品は単層フィルム・シート、多層フィルム・シート、エンプラフィルム・シート、P-プラス(鮮度保持シート)であり、S41年にスミライトVSS(塩化ビニル)で米国FDAに適合した製品の生産が起点である。

  食品包装・医薬品包装・離型フィルムとして、多層フィルムを共押出圧延方式で生産している。構成は最大7層であり、表面層・ガスバリア層・耐ピンホール層・シール層と、それぞれの層の間に接着層がある。印刷性・品質維持・ヒートシール強度などの目的で多層化しており、すべての原料を共押出方式で一度にフィルム化しているのが特徴である。金型の工夫と、ユーザーごとの性能へ要求に対応する配合の工夫が基本である。

  医薬錠剤包装向けや工業用途に塩化ビニルをベースにして、カレンダーフィルムを製造している。日本では塩ビは嫌われるが環境問題から考えると、塩ビは省エネ性・成分の半分以上が石油以外の原料であること、焼却時のダイオキシンに関しても大きな問題はなく、世界的には広く使われており、日本だけの特殊事情が残念である。このシートは医薬GMP対応の工場で生産しており、後で見学していただく予定である。

  エンプラ関連分野では、透明性・耐薬品性・電気特性などの特質を持つ樹脂をフィルム化し、携帯電話の液晶用、LCD用基板、FPC実装用、高速小型モーター摺動軸受用、半導体包装用などのフィルムを製造している。

 

講演3 食品包装用機能性プラスチック

研究所長 弓削田 泰弘

  食品用包装資材として要求される性能に、ガスバリア性・深絞り加工性・シール性・防曇性・はがし易さ・手で切れる性能・軽さ・印刷性などがある。加えて夾雑物がないこと、貼り付けたラベルが剥がれにくいことが要求され、さらに寸法が多種多様であることなどクリアしなければならないハードルがある。これら要求性能の中には相反する事項もあり、構成樹脂の選定や多層フィルムの採用などで対応している。寸法については大きな原反を作り、客先に応じてカットしている。

  特殊な、食品包装資材としてP-プラスがある。これは野菜や果物の鮮度保持用として水分子を透さず、袋内の酸素と二酸化炭素のバランスを保つよう、分子レベルの穴を開けたフィルムである。この包材を使用すると、ブロッコリーを7日保存しても黄化せず、栄養分保持効果もビタミンCの残存量がコントロールの1/4に対して3/4のレベルで収まるなど、優秀な包材である。この性能はほとんどすべての野菜や果物で再現でき、今後の発展を期待している。

工場見学

フィルム・シート製造(GMP対応工場)工場で、原反製造とスリット品製造装置を見学させていただいた。

Q&A

 Q 性質の異なる樹脂を貼り合わせた場合の歪みの吸収はどうしているのか。

A 金型の中で接着するので歪みは発生しにくい。なお、樹脂も物性を配慮して選定する。

 

Q それぞれの層の接着性をどのように確保しているのか。

A 接着剤を使用すると溶剤が問題となるので、相溶性のある樹脂を選定している

 

Q 各層の厚みはどの程度か。

A 種類が多く一概に言えないが、厚みは金型の設計で調節している。

 

Q 工程からたくさんのプラスチックごみが出ると思われるがどうしているのか。また多層フィルムなど複合材の場合リサイクルに障害が多いと思われるがどう考えるか。

A 工場で発生する半端は有価物として他のプラスチックメーカーに販売している。多層フィルムは分離できないので一体ものとして扱わねばならないが、食品の汚れが残り難しい。

 

Q P-プラスの穴の開け方やそのサイズなどを差し支えのない範囲で教えてもらえないか。

A ノウハウ部分でありお話しできない。

 

Q 日本では食品容器として塩ビが嫌われるが、薬品向けはどのような傾向か。

A 許認可業務であり、変更の場合はデータ取りが必要なことと品質的に問題がないのでそのまま使われている。新薬の場合は他の材料が使われる例もある。

 

Q 樹脂素材のメーカーに対して、特殊グレードの樹脂を要求されているか。

A スペシャル化は入手に問題があるので、汎用品を使っている。

 

Q 多層化に加えて表面処理はどうしているか。

A 表面処理は、金型の形状で接着性をよくする調整を行っている程度である。

 

Q バイオプラスチックに対する取組はどうか。

A 現在取りざたされているものは土の中でないと分解しない。澱粉系などもあるがやっと動き出したところであり様子を見ている。

 

Q 品質について、工程管理がほとんどのように見受けられるがどうか。

A インラインでは、サイズなど客先との調整事項に関してチェックしている。オフラインでは表面チェック、ガスバリア性、耐ピンホール性、シール性などを試験している。

                        文責 藤橋雅尚


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