生産設備の省エアー 6.水切りの改善事例

著者: 服部 修治  /  講演者: カテゴリ: 省エネ技術  /  更新日時: 2008年11月04日

平面板の水切りは、適当に多数の穴を開けた横長パイプを用いて、その穴から圧縮エアーを吹き出し、水を弾き飛ばすことにより行なっている。エネルギーコストが大きい圧縮エアーを大量に使用しており課題となっている。

一般的に水切りに必要な風速は、空気圧機器メーカ等の資料では被処理物を限定していなく30~85m/sと範囲が大きい。被処理物を樹脂製平面板に限定し、ブロー力が水滴付着力に打ち勝つ風速を論理計算より求めた。図1に示したように風速50m/s以上の条件を満たせば水切り可能であった。

基板水切りの解析

Fw〔N〕=γ*(1+COSθ)*2*r
γ=0.073N/m (表面張力)
θ=60 ° (樹脂と水)
r=0.001m (水滴半径 1mm)
Cd=0.1 (抵抗係数)
ρ=1.197kg/m3 (空気密度)
Sw=0.00000157m2 (投影面積)
Fj〔N〕 = Cd*ρ*Sw*V2 /2
Fj=Fw
Fj>FwになるVを求める
V=50m/s 以上

また、横長パイプの穴は円孔であり図2に示すように速度分布が均一でなく、ノズル長手方向の風速に縞状のばらつきがある。こうなると、水は風速の弱いところに集まり、弾き飛ばせなくなる。そのためより大量のエアーを吹き出すことになる。水切り用ノズルをエアー吹き出しの均一性を有する二重構造のスリットノズルに改造した。

現状ノズルの速度分布

  • 速度分布が均一でない
  • ノズル長手方向の速度バラツキあり

最適なブロー距離、ブロア風量等を実験で求め、ノズル直前圧が3kPaでも水切り可能なことを確認した。これにより、高価な圧縮エアーから安価なブロアーに変更することが出来た(供給圧:300kPa ⇒ 5kPa)。

図―3  ブロー距離と風速の関係

図―4  改善水切り


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