4)技術士全国大会で情報発信を

著者: 環境研究会 講演者: 環境研究会  /  講演日: 2010年09月16日 /  カテゴリ: 連載記事(フジサンケイビジネスアイ)  /  更新日時: 2012年10月12日

 

フジサンケイビジネスアイ 連載記事

関西を元気に! 

掲載日  2010.09.16

技術士の提言-4

技術士全国大会で情報発信を 

本連載は、関西の復権を図るために一石を投じ、その輪を広げていくねらいがある。
このために、技術士集団として、シンポジウムの開催をはじめ多元的な取り組みをはじめた。だが、関西復権のテーマは大きすぎて、あきらめの境地になるのか、周囲の関心・反応は鈍い。
戦後35年を経過した1980年ごろ、わが国の経済力は欧米をしのぎ、「もはや米国に学ぶことはない」との声が聞こえるまでになった。しかしながら、91年のバブル崩壊後、「失われた20年」として、苦闘している。

一方、米国は90年代に「1人勝ち」といわれるまでに再生した。リーマン・ショックはあったものの、情報通信分野のグーグルやアップルなど新ビジネスが生まれ、世界のリーダーとしの地位は変わらない。
中国は78年の改革開放政策から経済発展がはじまり、30数年を経てGDP(国内総生産)は日本を抜いて世界第2位、いまやその躍進ぶりは80年代の日本をほうふつとさせる。
米国が復権を果たしたように、わが国は勤勉、誠実な国民性を有しており、復活する可能性は十分にある。

地域のシンクタンク機能が必須

新野幸次郎・元神戸大学学長(現神戸都市問題研究所理事長)は、「米国のワシントンにはシンクタンクが100もあり、国の政策形成に、深くかかわっている」との著書があると指摘し、この背景を勉強するようにと、小池洋次・関西学院大学教授(元日経新聞ワシントン支局長)の図書で『政策形成の日米比較』を紹介された。
同書によると、「ワシントンでは、シンクタンクや大学、弁護士事務所にいた人材が、政権入りを目指して、ひしめきあっている。政権が交代すれば、大規模な人材の移動が起こる」としており、「日本は官主導の旧態依然としたシステムのなかで、国際競争力は低下し続け、政策ミスが繰り返されてきたが、このような人材育成機能が育っていないことに大きな要因がある」と分析している。
東京のシンクタンクの代表者から、関西での自治体などの調査予算は少ないので、限られた予算の制約のなかでは、調査報告書はテンプレートを張り替えるだけのような作業が多い、とのコメントを聞いた。自治体などの財政の悪化からさらに、この流れを加速しようとしている。

関西のトップ頭脳が技術士集団に期待

関西復権にはシンクタンク機能が求められており、技術士集団がこれをにない得るという期待感がうかがえる。
日本技術士会近畿支部環境研究会における社会への情報発信取り組みは、2002年にスタートした。2003年には、技術士全国大会を大阪で開くにあたり、大会テーマとして技術を「創」の視点でとらえた。
以降、環境技術、産業技術、マネジメント技術、伝承技術、生活技術の5つのテーマについて議論を深め、これを機に関西の有識者を招き、特別講演会を50回以上実施している。

編集協力日本技術士会近畿支部環境研究会

>>>次号  5)技術集団をシンクタンクに

 

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