10)関西3空港の有効活用を

著者: 環境研究会 講演者: 環境研究会  /  講演日: 2010年12月16日 /  カテゴリ: 連載記事(フジサンケイビジネスアイ)  /  更新日時: 2012年10月12日

 

フジサンケイビジネスアイ 連載記事

関西を元気に! 

掲載日  2010.12.16

技術士の提言-10

関西3空港の有効活用を

1970年に大阪万博が開催された。そのころ騒音問題がくすぶる大阪(伊丹)空港に代わる空港として、大阪湾沖に新しい海上空港を求める機運が高まってきた。海上空港案は当初、地元の反対が強かったが、81年に運輸省(現国土交通省)は空港予定地を大阪・泉州沖に決定、94年に関西国際空港(関空)を開港した。

関空一本化は机上の空論

関空が完成すれば大阪国際空港(伊丹空港)は廃止される予定だった。しかし、その計画は大きく揺らぎ、少なくとも3回の転機があった。

1回目は、予定地の選定段階で、選定案では神戸沖と泉州沖は利便性において差がないと結論づけられていたことだ。だが、兵庫、京都、大阪北部から関西空港へのアクセスは所要時間が2時間近くかかり、交通費も20003000円。利便性が神戸沖と同等とは言いがたい。選定は政治的思惑によるもので、科学的知見を積み上げ評価されるべき環境アセスメントの精神をゆがめた。

2回目は当初、神戸沖案に反対していた神戸市が主張を翻し、積極的に神戸沖案推進の活動を始めたとき。運輸省をはじめ関係者は、時機を失したとして取り入れなかった。
その後も、神戸市は空港建設を諦めず、市議会の議決を経て地域活性化のためとして06年に市営の神戸空港を開業した。この時も地域住民の十分な合意を得られたか疑問が残る。

3回目は、航空機の改善が進み、低騒音化したことだ。大阪空港には騒音対策費として、すでに7000億円の巨費を投じた。地元の伊丹市等関係市は、空港反対を撤回し、国内空港として継続運用を望んでいる。

このように根本の前提が変化し、どう方向付けをするかが不明確なまま、膨大な資金と時間をかけてインフラとして3空港が完成した。
「関西はひとつ」でなく「関西はひとつ.ひとつ」と揶揄されるように、地域全体のコンセンサスづくりができにくい地域性がある。今後は、国交省から提示されている大阪空港と関空の特性を生かした一体的運用が必須である。
大阪空港は、京阪神などの関西主要都市から頻繁に走る公共交通利用による至便の位置にある。新幹線と競合する羽田、福岡への便は関空に比べ、国内線として高い優位性がある。
一方、遠距離である北海道、沖縄への便は国の政策誘導もあり、関空、神戸を優先的に使用している。

 国際空港として独自性を

国際空港の拠点として関空は優れている。だが、国内の地方空港から仁川(韓国)経由で海外へ移動する顧客が多いが、接続便を考えると対抗しにくい。首都圏でも羽田空港が拡張整備され国際航空として機能が拡充された。
関空は、07年に二期の滑走路が開業し、24時間利用の利便性を含め、高い輸送能力を活かした国際空港として、独自性を発揮することが重要である。

国際航空路は中国、輔国、東南アジアが行き先の3分の2を占め、窓口として関空に優位性がある。
国際貨物は付加価値の高い製品の物流であり、後背地域も西日本全体に広く、グローバル化の中で貿易額も8兆円、今後も伸びが期待される。ただ、成田との差が大きい。今後は、中部空港との競合にも打ち勝てるシステム開発、サービス提供が必須だ。

編集協力/日本技術士会近畿支部環境研究会

>>>次号  11)広域・長期的なインフラの活用を

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