7)関西での新名神建設を急げ

著者: 環境研究会 講演者: 環境研究会  /  講演日: 2010年11月04日 /  カテゴリ: 連載記事(フジサンケイビジネスアイ)  /  更新日時: 2012年10月12日

 

フジサンケイビジネスアイ 連載記事

関西を元気に! 

掲載日  2010.11.04

技術士の提言-7

関西での新名神建設を急げ

関西に住む人は、誰もが大阪府の高槻市から滋賀県の草津市にいたる道路の慢性的な渋滞を経験している.新名神、新東名の高速道路について、名古屋では名古屋港をまたぐ大動脈の伊勢湾岸道路が2003年に完成した。新東名は御殿場(静岡県)までは14年、その東の神奈川県から東京の環状道路につながる道路も20年に完成する。
しかし、関西における新名神は、慢性的な渋滞が続く中国自動車道、山陽自動車道からのバイパス機能となる神戸~高槻間が19年に完成する。だが、高槻~大津間のわずか35kmは計画の大部分が凍結された。

新名神は西日本と中部・東日本とをつなぐ大動脈で、単なる関西の道路ではない。高速道路の通行料は休日1000円になったが、東京と関西は対象外。大動脈の補強が必要であることを国が認めたともいえる。
大山崎(高槻市近く)~大津間では京滋バイパスが開通した。このため、これ以上の建設は認めないことが、高速道路の民営化検討時に方向付けされたと聞く。しかし、大津~草津間はボトルネックになっており、代替道路がない。

    

           両図ともNEXCO西日本のホームページより引用

政治決断の見直しを

8月に国際戦略港湾として阪神港、京浜港が指定され、伊勢湾が対象から外された。ただ3年後に見直すことを、国土交通相が宣言、政治決断された。その後の動きをデータで検証し、再決断すると決めたわけだ。
高槻~大津間は、当初計画で事業性も高いとされた。しかし優先順位として、神戸~高槻間に譲る政治決断が行われたが、見直しのための地元関係者の努力はまだ十分ではないといえるだろう。

NEXCO西日本のホームページによると、大津~城陽(京都府)間の約25km、八幡(同)~高槻の約10km間は、第2回国土開発幹線自動車道建設会議で「主要なネットワーク供用後における交通状況などをみて、改めて着工について判断する」とある。
だからこそ、データを示し、地域あげての見直し提言が必要だろう。まして、「主要なネットワークの供用後」となる10年後に判断するのは論外。計画そのものを白紙に戻す声もある。

さらなる渋滞が始まる

国際規格のI SO9001品質マネジメントシステムでは、事実に基づくアプローチを経営の基本原則の1つに掲げ、妥当性の検証を必須としている。
08
年に新名神のうち亀山(三重県)~草津間が開通した。関西経済界の情報誌「関経連NOW」は、特集号を出して歓迎したが、開通によって中部の交通事情は著しく改善された。
この結果として、名神高遠は吹田(大阪府)~草津間で渋滞が増加した。開通後1年間の調査結果では、吹田~草津間の渋滞量は1.4倍の17429回、渋滞回数は1,2倍の同1232回と大幅に増えた。
一方、草津~一宮(愛知県)間は、新名神の開通効果により渋滞量は同1738回、渋滞回数は同202回と各7割減となり、渋滞はほぼ解消されている。

        NEXCOのホームページより引用                      フジサンケイビジネスアイ提供

2京阪道路は都市計画決定から40年、1兆円の巨費をかけて今年開通した。1カ月後の調査結果によると、京滋バイパスの終点である瀬田東(滋賀県)~草津間の交通量は同11万台から122000台と10%増えた。渋滞は今後10年間、解消されることは期待できない。
新名神高速は高槻一大津間を建設し、動脈を直結することで大幅に交通量を改善できる。時速120kmという殴計をしなくても、2車線80kmで計画しコストダウンと早期開通を目指すことが喫緊の課題である。

編集協力/日本技術士会近畿支部環境研究会

>>>次号  8)阪神高速道路の抜本的な見直しを

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