"エコアクション21"普及活動について ビジネスモデルとして優れたEA21

著者: 山本 泰三  /  講演者: カテゴリ: エコアクション21  /  更新日時: 2010年09月22日

4.ビジネスモデルとして優れたEA21

4.1    安くてよい運営システムづくり

 環 境問題の重要性を考えると、事業活動の中に環境を織り込んだ取組みを広く普及させることが、絶対に必要である。しかしながら、環境に伴う活動は、直接的に 利益を産み出すものではなく、構築、維持の費用が企業にとって大きな負担になる。したがって、費用効果があり、構築、維持費が安くて事業者の実態に即した ものでなければならない。

①金のかからない認証・登録システムの構築

 従 来のマネジメントシステムは、審査登録機関が企業と契約して認証・登録する仕組みであり、管理費も多くかかる。企業による自己宣言システムも  ISO14001では位置づけられているが、第三者による評価システムがあるから、社会的に安全・安心を与えることができる。審査機関ほどの管理費用がか からないようにできると、効率的なビジネスシステムを構築できることになる。

EA21の組織と役割関連図

②中央事務局と地域事務局の役割と運営

 システムの構築と維持管理は中央事務局(IGES)の役割である。環境省(国)のバックアップにより、IGESはシステムを進化させる原動力であり、少数精鋭組織である。

 地域事務局は全国35の都道府県にあり、企業だけでなく、行政、商工会議所などの団体とのかかわりを持ちながら、社会との接点を持つ公益的な親団体に属して、普及PR活動及び判定委員会の運営などの活動をしている。

 したがって、事務局の運営費は事業者から の認証・登録料で運営されるが、事業者の負担は2年で5万~10万円程度と安い。(※ほかに審査費用が必要)表1で示したように、登録時業者数が 100~200件の地域事務局が増加しており、このレベルになると地域事務局の運営も安定してくる。

③審査人の役割とスキルアップ

 審査人は中央事務局が実施する試験に合格 すると資格を与えられる。環境問題に対する幅広い知識、マネジメントシステムに関する知識、コンサルティング能力など、高い資質が求められる。とくに審査 時に指導・助言(アドバイス)をしなければならないので、スキルアップに対する要求レベルは高い。

 審査人は地域事務局と係りを持つが、独立して営業活動をし、顧客企業を発掘する役割を有している。

活動の範囲は限定されておらず、よいネットワークを作り、実績を積めば、全国を対象に活動できる。

 一般に審査人は企業の退職後に活動する場合が多い。審査費用は文書作成を含め通常2人日(内現地審査は1人日)で、10万円プラス交通費等の実費を請求できるので、昨今の状況からすれば、仕事の質に見合った収入が保証されることになる。

 

4.2    企業・事業者にとってのメリット

①費用が安くて取組みやすい。

 企業・事業者にとっては、取組みやすくて維持費がかからないシステムでないと普及に繋がりにくい。

 費用が安くて取組みやすくても、現場に即した実効性のあるシステムでないと取組み動機にならない。

②マネジメントシステムの構築で体質改善

 システムの構築段階では、無料で 4~5回の集合研修に参加できる制度がある。この回数だけでは、相当がんばらないと十分にマネジメントシステムを理解し、PDCA(プラン、ドゥー、 チェック、アクション)を回す取組みを構築することはしんどいが、地方自治体などの支援制度の活用が広がりつつある。

 EA21はQMS,EMSなどと同 様にマネジメントシステムであり、構築・運用することで継続的改善を図ることを目標としている。また、審査段階で審査人を指名することができるので、審査 人から指導・助言を受けて、組織の目標、役割を明確にして、人材を育てるツールとしても有効である。

③審査人からアドバイスを受けられる。

 ISOでは審査とコンサルは厳に分 けて運用されている。EA21では、審査人が倫理規程を守るのは当然であるが、審査人から指導・助言(アドバイス)を受けることができる。また、審査人を 指名して3年間4回までの同一人による審査(登録、中間、更新、中間)段階での指導を受けることができる。

④認知度アップと助成制度の活用

 EA21 の有効性、認知度のアップがあり、一方で従来のQMS,EMSに対する自治体等の支援制度の利用希望が減少していることから、EA21に対する助成制度の 充実が進みつつある。また、支援ツールとして、システム構築のための文書や記録、様式類が充実してくること、審査人のスキルアップともあいまって、普及に 繋がる条件は進化・改善していくことになる。

 



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