工場エアの省エネシリーズ 第2回:工場エアの性格

著者: 岩佐 昌哉  /  講演者: カテゴリ: 省エネ技術  /  更新日時: 2008年11月04日

工場エアの省エネシリーズ【2】

【第2回:工場エアの性格】

第2回の目次:
1. ストレスが及ぼす影響は?
2. 工場エアの性格は?

1. ストレスが及ぼす影響は?

 ヒトには「ストレス」を受ける場面が大なり小なり誰にでも一生を通じてあります。ヒトには「感情」があり、ストレスは感情に内在します。会社での人間としてみると、会社の上司、同僚、部下、取引先などとの関係があります。

 一方で家庭を見ますと、妻、子供、親戚、友人など自分はちゃんとやるべきことをやってきているのだろうか?こんなことを考え始めたら、ストレスは溜まる一方です。

  私と妻との間でこんな会話がありました。

    私:俺はストレスなるものが余り溜まるということを知らないな。

    妻:それはそうよ。あなたが溜めない分を、あなたの廻りの人が溜めてるよ!

 これは私にとってショッキングな言葉です。私は鈍いヒトということでしょう。ストレスを感じる場は誰にでもあり、どう受け止めて、自分の内面でどう処理をするかでストレスを溜めるか溜めないかが決まると思います。ストレスを溜めると癌になりやすくなり、マイナスです。

 コンプレッサにおいては、ストレスの溜まりは「緊急停止」というストライキに繋がりますが、この現象は、「感情」からくるものではなく、多くは論理的・技術的に説明できることに起因しています。

 夏場においてコンプレッサの緊急停止が多く発生します。コンプレッサは、空気を圧縮する過程で多くの熱を発生します(圧縮熱)。この熱を次々に発散させてやらないと、オーバーヒート(過熱)を起こします。

 「これ以上は耐えられない!俺は壊れてしまう!」という場面を迎えると、コンプレッサには自分で運転を停めてしまう機能(高温・緊急停止装置)がはめ込まれています。この場合、ヒトが「今、アイスクリームのフル生産中だ!停まるな!」と思っても(感情)、コンプレッサは一切そういうことは考えません。感情はありません。あらかじめヒトが設定した温度に達したら忠実に停めます。コンプレッサが高温にならない措置をヒトが取らなければなりません。

2. 工場エアの性格は?

 ヒトは性格がそれぞれ違い、また行動パターンも違います。例えば私は「望まないことは極力避ける」というタイプです。

 とはいうものの、望まないことであっても「しょうがない!」と自分に言い聞かせて取り組むことが多々あります。

 工場エアはどうでしょうか?「わがまま」です。「狭いところには行きたがらないという性格」です。ヒトは妥協する場合もありますが、エアの「わがまま」は一貫しています。

 エアは配管が2つに分かれる分岐点に来ました。ひとつは内径が約 20mm ( 20A 配管)、ふたつ目は約 10mm ( 10A 配管)、どんな割合で流れるのでしょうか?ひとつ目( 20mm )に約 90% ( 87% )、ふたつ目( 10mm )に約 10% ( 13% )の割合で分流します。ふたつ目の細い配管には約 1/10 しかエアが行きません。その先にある機械・装置には少ししかエアが行かず、動きがわるくなり、モノ作りへの支障をきたします。

 エアは狭いところ、正確には「圧損が大なところには行かない」という性格です。この性格を見抜きますと「この装置の動きが悪いのは何故か?」に対して、「その装置からエアの源流に向かって圧損が大と思われる部分をチェックし、改善する」という方法が生まれます。


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