工場エアの省エネシリーズ 第7回:4大アイテム、D.エア品質の向上による省エネ
- 第1回:心臓とコンプレッサの違い
- 第2回:工場エアの性格
- 第3回:工場エア・省エネを推進する方法は?
- 第4回:4大アイテム、A・コンプレッサ運転方法
- 第5回:4大アイテム、B.圧力低下による省エネ
- 第6回:4大アイテム、C・エア消費量の低下による省エネ
- 第7回:4大アイテム、D.エア品質の向上による省エネ
工場エアの省エネシリーズ【7】
【第7回:4大アイテム、D.エア品質の向上による省エネ】
第7回の目次:
1. 「エア品質の向上による省エネ」とは?
工場エア省エネの4大アイテム: A.コンプレッサ運転方法の改善による省エネ B.圧力低下による省エネ C.エア消費量の低下による省エネ D.エア品質の向上による省エネ |
1. 「エア品質の向上による省エネ」とは?
(1) エア品質の3要素とは何か?
エア品質の3要素とは、①オイル(油)、②水(ドレン)、③ダスト(ホコリ)であり、工場エアとしては悪玉です。この3要素が少ない程、「エア品質がよい」と言えます。
(2) エア品質の3要素がもたらす弊害とその対策は?
① オイル(油):
給油式コンプレッサが多くの工場で使用されています。圧縮部であるスクリュやピストン部(ピストンコンプレッサ)の焼き付き防止のために潤滑油が噴霧されており、この油がエアに混入されて製造現場に至ります。オイル(油)による弊害は下記です。
• 生産性の低下:
コンプレッサの後段に、オイルを取る目的で「オイルフィルタ」が設置されますが、高温で気体に近いオイルは取り切れず、このオイルに、水(ドレン)とダスト(ホコリ)が加わった混合物が製造現場に至ります。そのために機械・装置における詰まりを起こし生産上のトラブルの要因となります。
• 製品品質の低下:
多くの製造工場では製品への塗装が行われます。塗装工程では、水切り・乾燥・塗料の噴霧にエアが使われます。このエアに、オイル・水が含まれていますと塗装不良の要因となります。これはオイルによる悪弊の一例に過ぎません。
• 圧損の増大による反・省エネ:
オイルは、コンプレッサ内蔵のアフタークーラ、ドライヤ、フィルタの詰まりを促し、また配管内面への付着により圧損を増大させ、反・省エネです。エア品質は、ここで省エネ問題に結びつきます。
• オイル(油)への対策:
コンプレッサを給油式ではなく、「オイルフリータイプ(無給油式)」に順次、更新時のチャンスを捉えて取り替えていくことです。オイルフリータイプは金額が高いけれども、生産性への悪影響を避け、オイルフィルタが不要となり圧損が下がり省エネです。
② 水(ドレン):
コンプレッサで空気を圧縮しますと高温になり、内蔵のアフタークーラで冷却し、さらに後段の冷凍式ドライヤで冷却し大量の水を取ります。 37kW のコンプレッサで夏場の 24 時間でドラム缶・1本( 200L )もの水が出ます。
それでも夏場の製造現場には多くの水(ドレン)が到達し、生産性の低下と製品品質への悪影響を及ぼすことがあります。その場合、ドライヤをもう1台増設しエアを2台に分流させます。あるいは、ドライヤ内蔵型コンプレッサであれば内蔵ドライヤを使わず別置き・独立のドライヤを新設します。
③ ダスト(ホコリ):
コンプレッサの吸入空気中のダストや配管で発生する錆片による影響があります。ただ、機械工場ならば適切なダストフィルタがあればあまり生産上のトラブル要因にはなりません。