工場エアの省エネシリーズ 第3回:工場エア・省エネを推進する方法は?
工場エアの省エネシリーズ【3】
【第3回:工場エア・省エネを推進する方法は?】
第3回の目次:
1. エア省エネの4大アイテムとは?
2. 省エネ実施の優先順位の付け方は?
3. 「生産が第一で、省エネは第二」とは?
4. エア省エネチームの編成が必須なのは何故か?
1. エア省エネの4大アイテムとは?
エア省エネを大胆にまとめますと、次の4アイテムに整理できます。自工場のエア設備を、この4アイテムの視点から観察し、実態を把握し、問題点を洗い出し、優先順位をつけてつぶしていくことです。
工場エア省エネの4大アイテム: A.コンプレッサ運転方法の改善による省エネ B.圧力低下による省エネ C.エア消費量の低下による省エネ D.エア品質の向上による省エネ |
2. 省エネ実施の優先順位の付け方は?
優先順位は「費用対効果」がまず第1です。この言葉は工場でおりますと「耳タコ」ですね。私はひっくり返して「効果対費用」だと思っています。効果が先で、効果のない案件は費用を試算する価値がないからです。「省エネ効果が高いのはどの案か?」となりますと、「省エネ効果をお金に換算する能力」が求められ、勉強を迫られます。費用は、出入り業者を呼んで例えば「この配管を撤去して 50A 配管に替えたらナンボかかるか、見積をくれるか」で多くは済みます。
自分や仲間で理解し解明し、省エネ効果の結論づけができることから優先して始めることです。難しい、自分たちでわからない項目は後回しにします。
3. 「生産が第一で、省エネは第二」とは?
省エネの話に水を差すようですが、省エネは最優先ではありません。製造工場にとっての最重要課題はまず、商品の4要素です。すなわち、①品質、②価格、③納期、④環境配慮設計で世の中に貢献し評価され、その見返りとして存続しています。
「照明の減灯による省エネ」は生産に悪影響を与えませんが、エアの省エネでは、生産に悪影響を及ぼす可能性が高く、慎重にしかし大胆に取り組む必要があります。
例えば、コンプレッサ元圧を下げると省エネだ、圧力を下げた、装置が停まったり不良品が続出した、では話になりません。
4. エア省エネチームの編成が必須なのは何故か?
「 a ・エア供給部門(コンプレッサの管理、工務課・動力課等)」のあなたが勉強し、「 b ・エア使用部門(生産技術課・製造課等)」に「圧力を 0.5MPa 下げるだけで4%もコンプレッサの動力が下がる。やろう!」と言いました。 b の担当者は、「製造現場で大混乱、不良品の続出が出たら、あんたが責任を取るのか!」にどう答えるか、が問題でそのトラブルはあり得ます。 b ・製造部門の第一目標は、高い品質・納期などであり、それは正しいのですが省エネもやらなければなりません。
a ・エア供給部門と、 b ・エア使用部門による「エア省エネチームの編成」が必須です。各2名程度の小さなチームでもよく、月に1回程度の定例会から始め、省エネの必要性・現状認識・問題点について論議をするうちに、意識・感情を共有できるようになります。
「費用対効果」において、「我が社は、回収年限が3年だ」にこだわることはなく、4年でも5年でもどんどん省エネ提案の予算申請を出したらいいのです。その予算がことごとく認められなくても気にしなくてもよく、その程度が自社・経営層の現状の判断レベルと思えばいいのです。認められなかった提案がいつか敗者復活することもあります。日本が約束した CO 2 ・ 6% 削減のカウントが 2008 年から始まります。世の中は変化していきます。