工場エアの省エネシリーズ 第6回:4大アイテム、C・エア消費量の低下による省エネ
- 第1回:心臓とコンプレッサの違い
- 第2回:工場エアの性格
- 第3回:工場エア・省エネを推進する方法は?
- 第4回:4大アイテム、A・コンプレッサ運転方法
- 第5回:4大アイテム、B.圧力低下による省エネ
- 第6回:4大アイテム、C・エア消費量の低下による省エネ
- 第7回:4大アイテム、D.エア品質の向上による省エネ
工場エアの省エネシリーズ【6】
【第6回:4大アイテム、C・エア消費量の低下による省エネ】
第6回の目次:
1. 「エア消費量の低下による省エネ」とは?
工場エア省エネの4大アイテム: A.コンプレッサ運転方法の改善による省エネ B.圧力低下による省エネ C.エア消費量の低下による省エネ D.エア品質の向上による省エネ |
1. 「エア消費量の低下による省エネ」とは?
(1) エア消費量の低下による省エネ:
エア消費量を下げますと、その分コンプレッサは遊ぶことができて、コンプレッサの動力が下がり省エネです。
(2) エア消費量の低下でどのくらいの省エネになるか?
ある工場の技術者から私に電話、「彼:セミナでのお話をもとに1年間かけてエア漏れ低減をやりました。多分 10% はエア消費量を減らしたはずですが、コンプレッサの電流計をみると下がった形跡はありません。何故でしょうか?」
私:お宅のコンプレッサは、「 100kW ・ 3,000V 電源電圧・ 0.6MPa 運転」だから定格電流(全負荷時の電流)は約 22A ( 22 アンペア)、 10% 下がれば 2.2A の低下で電流計での目視確認ができますが、実際はその 3 割( 2.2A × 0.3=0.7A )くらいの省エネで 0.7A の低下でしょうから電流計では目視確認ができないのでしょう。
ここでも、「A.コンプレッサの運転方法」により、エア消費量低減の省エネ効果は、その3割~8割となります。
(3) エア消費量を下げる方法は?
エア消費量を下げる方法を列挙します。
① 現場圧力の低下:自動的にエアブロー箇所やエア漏れ箇所のエア消費量が下がります。(前記)
② エア漏れの低下:土曜日・日曜日に操業を停止しコンプレッサも停止させる工場のエア圧力は数十分から数時間でゼロになります。エア漏れのせいです。エア漏れが20%~30%の工場はざらです。
③ ワーク(流れてくる部品など)が来ない時のエアブローの停止:ワークが接近したら、エアブローを自動的に開始する制御を入れましょう。
④ エアブロー・ノズルの交換:エアとの摩擦・摩耗により、孔径が大きくなっていることがあります。当初設計のノズルに交換しましょう。
⑤ エアブローの最適化の研究:エアブローでの孔径・形状・距離・圧力等の適正化のために、実験的に研究・試行錯誤・改善をしましょう。
(4) エア漏れを下げる方法は?
① エア漏れ状態の確認:操業を停止しコンプレッサを停止後、何分後にレシーバタンクの圧力がゼロになるのか?を調査しておいて、改善後との比較をしましょう。
② 漏れ箇所の調査:シューという漏れ音をメモした「エア漏れ箇所・チェックリスト」を作ります。
③ エア漏れは「疲れ」です。年齢を経ると疲れます。あなたの工場は何歳ですか?疲れとは、緩み・腐食・劣化です。それらを補修します。
④ 増し締め:つなぎ部に着目し、配管・機器のつなぎ部・機器と配管・ホース・ニップル等を増し締めします。
⑤ 交換:シール材・コネクター・カップリング・ホース・ネジ・ボルト・小配管・バルブ・オートドレンイン・トラップ等で腐食・劣化部を取り替えます。
⑥ 新設:機械・装置の入口にバルブを新設し、不要時にはバルブを閉めます。
まず1年間はやり続ける覚悟が必要です。