工場エアの省エネシリーズ 第5回:4大アイテム、B.圧力低下による省エネ
工場エアの省エネシリーズ【5】
【第5回:4大アイテム、B.圧力低下による省エネ】
第5回の目次:
1. 「B.圧力低下による省エネ」とは?
工場エア省エネの4大アイテム: A.コンプレッサ運転方法の改善による省エネ B.圧力低下による省エネ C.エア消費量の低下による省エネ D.エア品質の向上による省エネ |
1. 「B.圧力低下による省エネ」とは?
(1) コンプレッサの圧力低下による省エネ:
コンプレッサの圧力を下げますと、コンプレッサの動力が下がり省エネです。但し、容積型コンプレッサ(スクリュ、レシプロ)のみを対象に述べます。圧縮原理が異なる遠心型(ターボ)は下記の記事の対象外です。
(2) 圧力低下でどのくらいの省エネか?
自動車の場合、時速 100km で走るよりも 80km で走る方が燃費がよくなることと似たことがコンプレッサでもあります。
コンプレッサの運転圧力を 0.1MPa 下げますと、約 5 ~ 8% 動力が下がります。コンプレッサを回転させているのはモータ(電動機)です。求められる圧力が 0.7MPa ではなく、もっと低い 0.6MPa の方が楽で、その分消費電力が下がり省エネです。自動車と同じことです。
(3) 元圧(コンプレッサ圧力)を下げる方法は?
殆どは「圧力損失(圧損)を下げること」です。製造現場の圧力を維持したままで、そこに至る圧損を下げます。
下げた分は必ず元圧(コンプレッサ圧力を下げなければなりません。もし、このことを怠りますと、反・省エネとなります。すなわち、「圧損を減らすだけで元圧を下げなければ、現場圧力が上がり、エアブロー箇所のエア消費量が上がり、反・省エネ」となります。
(4) 圧力損失(圧損)を下げる方法は?
① コンプレッサ内蔵のアフタークーラ:清掃します。(機器圧損の低下)
② 冷凍式ドライヤ:清掃します。(機器圧損の低下)
③ フィルタ・エレメント:交換します。(機器圧損の低下)
④ バルブ:低圧損のものに交換します。例:玉型弁をボール弁に替えますと圧損は 1/50 になります。(配管類圧損の低下)
⑤ クイックコネクター:低圧損型に交換します。また、着脱不要箇所は、ねじ込みタイプに交換します。(配管フィッテイング圧損の低下)
⑥ 細い配管(およびチューブ):大径化、または併設配管を増設します。(配管圧損の低下)
⑦ タコ足配管:減らし、メイン配管から枝管を引いてきます。
⑧ レシーバタンク:増設します。
(5) 製造現場の圧力低下による省エネ:
製造現場の圧力をもっと下げられないか?に挑戦します。元圧を少しずつ下げて許容限界を知る実験を行い、圧力を決めます。現場圧力を下げますと、エアブロー箇所のエア消費量が下がります。 0.05MPa の低下でエア消費量が約 7% 下がります。もっともその 3 割~ 8 割が省エネ効果となります。「 A. コンプレッサの運転方法」により効果は変わります。