工場エアの省エネシリーズ 第4回:4大アイテム、A・コンプレッサ運転方法

著者: 岩佐 昌哉  /  講演者: カテゴリ: 省エネ技術  /  更新日時: 2008年11月04日

工場エアの省エネシリーズ【4】

【第4回:4大アイテム、A・コンプレッサ運転方法】

第4回の目次:

1.  「A.コンプレッサの運転方法の改善による省エネ」とは?

工場エア省エネの4大アイテム:
A.コンプレッサ運転方法の改善による省エネ
B.圧力低下による省エネ
C.エア消費量の低下による省エネ
D.エア品質の向上による省エネ

この4つアイテムを念頭に、優先順位をつけてつぶしていくわけですが、そのためには、「エア省エネの4大アイテム」の概要を理解する必要があります。

1.  「A.コンプレッサの運転方法の改善による省エネ」とは?

 大阪のある部品の製造会社は、5台の4トン車を保有し、宵積み(よいずみ = 夕方出発)で翌朝に顧客に部品を納めることを習慣としてきております。景気のいい頃は自社の5台では積みきれずに、運送会社に6台目以降を外注したこともあります。

 現状は、4トン車に1トン程度を載せて5台のトラックが毎夕出発しています。5台ではなく1台か2台のトラックで済み、こんな無駄はやりませんね。

 この部品製造会社では、5台のコンプレッサ(全て22 kW の給油式スクリュ・コンプレッサ = 絞り制御)を持ち、5台ともいつも運転させており、エア消費量の変動がわからないのだから当然で、生産を守るためにはうなづけます。

 この部品製造工場をあるメーカが訪問し、コンプレッサの電流を7日間連続測定してコンプレッの運転状態を診断してくれました。コンプレッサの特性さえ知っておれば、電流から吐出空気量は推定できます。

 その結果わかったことは、下記です。
   ①  空気量のピーク時において、 2.8 台分のコンプレッサでまかなえること。
   ②  夜間や土曜日・日曜日は、 0.7 台から 1.6 台でまかなえること。
   ③ 予備機としては、少なくとも2台分あり問題がないこと。
   ④ 必要なときに必要なコンプレッサを運転させる制御を行えば、約20%の電力削減ができること。
   ⑤ インバータ機( 22kW )を新設すれば、さらに約3%の電力削減ができること。

 先ほどの「トラック5台は必要がない」という話とよく似ています。トラックの場合は、当日の出荷量が前もって把握できますから余分なトラックと運転手を休ませることが容易です。

 工場エアの場合は、「測定したエア消費量パターンで推移する」という保証がない点が異なります。一部の装置が新替されたり、金型の取り替えが終わった数台が同時に稼働を開始したり、急激なエアブローが行われたりしますと、エア消費量は急激に上昇します。エア消費は管理ができず、予測ができません。

 取りあえずは、「コンプレッサ圧力を階段状に設定すること」です。コンプレッサ運転に優先順位をつけることです。

 工場エアの省エネにおいて、最も大きな省エネが期待できるのがこのアイテムであり、一部の製造工場ではこのアイテムの省エネを実施しています。

 このアイテムでの省エネは、かなりの条件が揃わなければ困難です。すなわち、「①コンプレッサの特性などの知識、②コンプレッサ制御やインバータ機への設備投資が必要、③これらに相談に乗ってくれる人々が必要」、などという点があり、条件が揃うまでは、このアイテムへの取組は後回しとしてもいいでしょう。


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